【合格体験記】崖っぷち浪人生が執念で掴んだ早稲田大学という未来

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こんにちは、郷中塾の宮園です。

早速ではありますが、タイトルの通り、郷中塾で浪人した修学館高校卒の柴立果穂さんが、現役生の時からの夢だった早稲田大学文学部に大逆転合格を果たしました。

・どこで浪人したらいいか悩んでいる人
・授業型予備校に不安を感じている人

今回、果穂さんと一緒に浪人生活の1年間を振り返りながら、「郷中塾で、どのように浪人生活を過ごしたのか」入塾までから合格までのストーリーを話してくれましたので、ぜひ最後までお読みください。

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第1章:敗北からのリスタート

1−1.昨年度の根拠なき自信と絶望

 
さっそくですが、今日は改めて、「早稲田大学文学部への逆転合格」という最高の結果に至るまでの長い道のりを振り返りたいと思います。まずは、現役時代の入試本番から思い出していきましょう。
あの時の感覚、今でも覚えているかな?

 

【柴立さん】

鮮明に覚えていて、嫌な思い出です。

現役生の時はなぜか「なんかイケるかも!」って勘違いしてました。試験本番の時も「よくわかんないけど、解けてる気がする!」ってなってました。そんなわけないんですけどね。

今振り返ると、手も足も出ない状態だったのに、アドレナリンが出ていて正常な判断ができていなかっただけだと思います。

点数開示をしましたが、もちろん合格点には遠く及ばず、悔しいのもありましたが、「まあ、そうだよね。」って、ふと現実が見えた感じでした。

 
嫌な思い出を掘り返して、申し訳ない。今回、私(宮園先生)としては100%早稲田大学に合格すると思ってましたが、現役時代は相当苦労したんだね。

 

【柴立さん】

そうですね。

現役時代は別の個別指導の塾に通って、自分なりに必死に勉強してきたつもりでした。結構お金もかかったし、「やることはやってる」と思ったんですが、足りなかったみたいです。

現役時代の模試はE判定の連続で、過去問で合格点が取れるようになってないのに、どこかで「本番なら奇跡が起きるかも」なんて甘い期待を抱いていたのかもしれません。

でも、現実は残酷でした。

頑張ったはずの努力が否定された気がして、あの時は本当に心が折れた瞬間でした。

1−2.大手予備校を拒絶した理由

多くの受験生も当てはまりますが、不合格になった場合、まず直面するのは「どこで浪人生活を送るか」という選択です。普通なら、実績のある大手予備校に行くのが一般的だと思います。でも、果穂さんは大手予備校に行かなかったのは、なぜですか?

 

【柴立さん】

直感なんですが、「そこに行っても同じ失敗を繰り返すだけだろう」と思ったんです。

大手予備校のパンフレットを見ると、有名な講師の先生たちが授業してくださると書いてますよね。でも、去年の自分を振り返ったとき、私は「授業を受けること」で満足して終わっていたんだと気付きました。

学校や以前通っていた個別指導塾の先生の鮮やかな解法を見て「分かったつもり」になっていただけで、いざ一人で机に向かったとき、自分自身の力で再現することができていませんでした。

それに、私は周りの環境に流されやすい自覚がありました。

大手予備校に行けば、同じ高校の友達や知り合いが必ずいるので、休み時間に誰かと話したり、模試の結果で一喜一憂したり…

覚悟を決めて浪人するのに、そんなことに時間や精神的なエネルギーを割きたくなかったです。出来るだけ友達などに縛られず、ただ自分の勉強とだけ向き合える、ストイックな環境が欲しかったんです。

果穂さんみたいな、真面目で丁寧に勉強したい人は、あまり大手予備校をお勧めできないから、良い選択だったと思います。

 

【柴立さん】

宮園先生が言うなら正解だったんですね。

同じように浪人している知り合いが大手予備校に行ってたらしいんですが、予習や復習に追われて自分のしたい勉強ができないと愚痴っていたそうです。学校と同じような方針なので、合ってる人には合っていると思いますが、合わない人はとことん合わないんだろうなと思います。

結局、その人も第一志望には届かなかったみたいですし…

私は、授業が進むスピードに合わせるために、疑問を抱えたまま先に進まざるを得ない状態がきついと思っていたので、自分に必要な勉強だけができる環境を探していました


【なぜ真面目な人ほど、大手で置き去りにされるのか?】

大手予備校の集団授業は、基本的に「インプット」の効率化に特化している傾向にあります。なぜなら、大勢の生徒に対し、講師が最大公約数的な正解への最短ルートを提示するためです。

しかし、成績向上は本来、以下の3段階を経る必要があります。

(1)インプット 参考書や授業などから知識を得る
  ↓
(2)知識の連結:
得た知識を知ってる知識と結びつける
  ↓
(3)アウトプット:
結びつけた知識を用いて、初見の問題を解く

多くの予備校では(1)に心血を注ぎますが、(2)と(3)は生徒個人の努力という『ブラックボックス』の中に放り投げられている印象を受けます。

果穂さんのように、一つの単語、一つの文法に対して「なぜそうなるのか?」という根拠を丁寧に求めるタイプは、(2)の「知識の連結」に時間がかかります。

授業に追いつくために無理やり覚えたとしても、本番で使える強固な知識にはなりません。

真面目で丁寧に勉強したいという意欲こそ、指導効率重視の教育システムの中では「お荷物」として扱われてしまいます。

1−3.郷中塾との出会い

 
そもそも、郷中塾で浪人しようと考えたのはなぜですか?
その当時は、ホームページや広告で大々的に募集かけていなかったはずですが。

 

【柴立さん】

郷中塾に連絡したのは、正直に言うと「ダメ元」でした。

先生のおっしゃる通り、ホームページを見ても、「浪人生募集!」なんて書いていませんでした。でも、郷中塾の評判は良かったし、なんか惹かれるものを感じました。

ここなら、私のわがままというか、徹底的にこだわりたい性格を受け入れてくれるんじゃないかと思って、おそらくダメだけど聞くだけ聞いてみようと思って問い合わせてみました。

「おそらく無理じゃないかな」と思いつつも、連絡しようと思ったのを覚えてます。

あの電話のとき、宮園先生が「表立って宣伝はしていませんが、一人ひとりをしっかり見るために、数名のみ浪人生を受け入れています」と言ってくださったとき、すぐ面談をお願いしましたね。

ここだ、ここしかない、って。

 
面談の時の記憶は今でも残ってます。私(宮園先生)は、果穂さんと話した時に「あ、この子は早稲田大学に合格する」って確信に近い感覚を持ちました。
人見知りで自分の想いを伝えるのは苦手かもしれませんが、果穂さん自身が自分に必要なことを明確に持っていて、そして、そのために何が必要かぼんやりと輪郭を捉えているような印象を受けました。

 

【柴立さん】

あの1時間半の面談でいろいろ気付いてすごいですね。

私は、大手予備校は嫌だと思いつつ、「自分には何が必要なのか」ぼんやりと見えている感じでした。先生の言う通り、私は人見知りだから話すのは得意じゃないんですが、なぜか先生とはすぐ打ち解けて話ができていたのが自分でも驚きでした。

もともと自分の気持ちを言語化するのが苦手ですが、宮園先生が「ということは、それってこういう感じ?」って代わりに言語化してくれて、自分の頭の中を整理しながら喋ることができた感覚があります。

面談が終わってから、母との帰り道で「郷中塾に入塾したい」って決まって、そしたら善は急げで入塾希望の連絡をしたのが、浪人生活の始まりですかね。

 
私(宮園先生)としては、この子(果穂さん)は大手予備校に行ったら周りからのプレッシャーや誘惑で潰されてしまう可能性が高いので、郷中塾に入塾すると連絡をもらった時は素直に嬉しかったです。
果穂さんの覚悟にも感動しましたし、「1年間一緒に戦えるんだ」と思うと、ワクワクしていた自分がいましたね。

 

【柴立さん】

浪人先は周りの友達には内緒にしてました。

せっかく少人数対応の予備校に通うんだから、孤独な方が自分のためになると思ってましたから。

また、大手予備校にいれば、常に誰かと比較されて周りの目が気になって、自分のしたいことができずに何かしらの空気感に飲み込まれる気がしました。

でも郷中塾では、比較対象は「昨日の自分」「できなかった頃の自分」しかいません。

宮園先生が、私の進捗だけを見て、私専用のカリキュラムを組んでくれるので、周りを気にする必要がなかったです。

ある意味で「世間一般の浪人像」ではないかもしれませんが、この選択をしたことに後悔はないですし、自分が最後まで走り抜けたのは、周りに流されない環境も大きかったのかなと思います。

第1章まとめ:敗北を定義し直す

受験だけでなく、部活動での大会や社会人特有の競争など、そのような場面で敗北した理由のほとんどが、その人の能力欠如ではなく、手段や方針のミスマッチによるものです。

果穂さんは現役生のとき、周りに流されて自分に適していない進度や方針に従ったことが原因のひとつでした。そのため、多くの受験生が恐れる「孤独な環境」「自学自習の責任」を、大変なことを承知で自ら選び取り、1年かけて再び戦う準備を始めました。

第2章:第二の家 ― 自分専用の自習空間

2−1.自分だけの「聖域」の構築

 
浪人生活が本格的に始まってから、果穂さんの生活リズムは劇的に変わったよね。
朝から郷中塾で勉強して、家に帰ってからも勉強して、夜にちょっとリフレッシュする時間はあったけど、1日中勉強漬けだったと思います。
また、受験生にとって「自分だけの場所」を持つ意味は大きいと私は思っていますが、果穂さんにとってあの自習室はどういう存在だった?

 

【柴立さん】

私にとって、あの場所は単なる「自習席」以上に、何か守られているような「聖域」みたいな感じがありました。

現役時代は、家でダラダラしてしまったり、その時通っていた個別指導塾に行っても周囲の話し声が気になったり…

「さあ、やるぞ」と決めてから、実際に集中し始めるまでに時間がかかっていました。

でも、郷中塾には私専用の席があって、参考書も辞書も、書き込んだノートや裏紙も全部置いてました。

それだけはなく、お気に入りの文房具やちょっとした小物を置いて、自分の気持ちが上がるようにしたりアレンジしていました。

宮園先生から「壊さなければ好きに使っていいよ。自分のスペースに収まるなら、本棚を買ったり、張り紙したり、自分が一番集中しやすい環境を整えてください。」と言われて、びっくりしました。

以前通ってた個別指導塾では、もちろん自分の場所はなくて、空いてる席を使うのが普通だと思ってたので。

生徒一人ひとりに専用自習席を用意するのは、私(宮園先生)の「環境が人を作る」という信念です。成績向上の本質は、集中して勉強し続けることに尽きるので、その人にとって最高の自習環境をつくることができれば、自然と成績が上がりやすい空間になりますよね

 

【柴立さん】

本当にそうだと思います。

この1年間はずっと郷中塾にいたので、いつの間にか私の「第二の家」になっていました。家の自室よりもリラックスできるし、それでいて集中できる環境でした。

ぱっと見たら机の上はゴチャゴチャしていましたが、手の届くところに勉強に必要なものが全てある状態の方が、私は集中できるので最高の自習空間なんです。

何より、朝から晩まで宮園先生がいるから、いつでも質問や相談ができますし、仲間が横で必死にペンを動かしているので、その緊張感ある空気が私の弱い部分や甘い部分を打ち消してくれたんだと思います。

2−2.正解のない暗闇を歩く恐怖

 
最高の自習環境だったと思うけど、自習内容はどうでしたか?
私(宮園先生)から果穂さんに「気になることや疑問に思ったことは、徹底的に調べてたり質問したりと曖昧にせず、すべて解決しましょう」と、量より質を求める姿勢をお願いしていましたが。

 

【柴立さん】

自分から「丁寧に勉強したい」と思ってましたが、正直に言えば、最初は「勉強する教科に偏りが出ていいのかな?」って不安がありました。

大手予備校に行かないと決めてはいましたが、当時は教科に偏りなく満遍なく勉強する方がいいと思ってて…

だけど、宮園先生が
「これから2週間の期間は、勉強時間の半分を古文にかけたいと思います。政治経済の勉強はタイミング見て詰め込むので、この2週間は二の次で構いません。古文の助詞や助動詞などを全て識別できるように、問題演習しながら丁寧に訂正してください。」
と言われて、迷いなく古文に全力を注ぐことができました。

私の性格を知ってくれているから、もし満遍なく勉強しようとすると、「あれもこれもするのかー…」って萎えちゃうのを見越しての指示だったんだと思います。

短期的に見ると教科に偏りがありますが、中期的に見てバランスが取れるよう、宮園先生が細心の注意を払って計画を立てくれていたので、安心して勉強することができました。

 
そうですね。中途半端になるぐらいなら、一時的に極端な勉強方針を立てるときもあります。場当たり的な勉強とは違い、早稲田大学合格という目標を見据えながら、果穂さんの精神状態や集中力に合った計画に適宜修正していました。

 

【柴立さん】

その修正を指示するタイミングが、怖いくらい絶妙でした。放置されているわけじゃないけれど、縛られた感じも全くありませんでした。

「私の勉強は間違っていないだろうか…」という受験生特有の、自分の勉強に対して感じる不安から解放されて、目の前の1ページ、1単語に全神経を注ぐことができたんだと思います。

ただ、夢中になりすぎて英和辞書をずっと引いて勉強していると、「ちょっとエンジンかかりすぎなので、16時頃に切り上げてね」って、中期的な計画で教科のバランスに偏りが出そうな時は、すぐに声をかけてくれていました。

宮園先生は生徒によって指導方法が全く違って、私の場合、全力で頑張りたいのに意識的にセーブするのが窮屈に感じるので、目標設定や軌道修正を中心に見てくれていたんだろうと思います。

第2章まとめ:自分の可能性を最大限引き出す

① 最高の自習環境を確立
自分専用の自習席をカスタマイズすることで、勉強のハードルを下げつつ質を向上させ、集中力を最大化する。

②「修正」への絶対的信頼
「方向がズレたら先生が直してくれる」という深い信頼関係が、迷いのない徹底的な深掘りを可能にする。

第3章:早稲田の壁を越える思考回路

3−1.赤本の解説が「ショボい」という絶望感

 
夏頃には基礎がほとんど固まり、いよいよ早稲田大学の過去問演習に入った頃、果穂さんはよく「先生、この解説の意味がわかりません」と切実な面持ちで質問に来ていたよね。

 

【柴立さん】

本当に解説がショボいので、これは赤本が悪いですよ。

市販の過去問にある早稲田大学の英語や国語って、解説を読んでも「第3パラグラフの第2文にこう書いてあるから、答えはB」みたいに、結果論しか書いていないことが多いんです。

「いや、その根拠を本番で見つけるのが一番難しいんですけど…」って、何度心の中で愚痴ったのか分かりません。

 
そうなんだよね。難関大の解説というのは、往々にして「後付けの理由」になりがちだと思います。でも、受験生が本当に知りたいのは、制限時間という極限状態の中で、どうやってその正解の糸口を掴み取るかという「思考の手順」のはずです。

 

【柴立さん】

その通りだと思います。

解説の内容は薄い説明でわかりにくいし、絶対後付けだと思います。

特に、早稲田大学の国語や英語は「絶対にこれが違うから選択肢から切る」ってことが難しいのに、あたかも当然のように書いてて、ちょっとムカついたときもあります。

赤本の解説がそんな状態なので、宮園先生に質問に行くと、先生は解説を見ずに、まずは私の目の前で問題を解いて見せてくれました。

あの「宮園先生の脳内実況中継」は、私にとって衝撃の連続でした。

3−2.「先生の脳内」をインストールする

 
私(宮園先生)が実際に目の前で問題を解きながら、迷いながら考える思考過程まで、すべて言語化することで、何を考えながら問題に向き合っているのか理解しやすいですよね。本当は、赤本などの過去問にある解説もそうしてほしいですが、出版するにあたって削った部分なんでしょうね。

 

【柴立さん】

宮園先生の実況中継みたいな解説はとても分かりやすかったです。

宮園先生はただ解くんじゃなくて、文章の構造や主張の濃淡を捉えている感じがしました。

「このパラグラフで主張したい部分はAであり、それを補強するのがBであると私(宮園先生)は思います。ということで、選択肢でBが強調されているのは、一見すると正解に見えるがベストな解答ではないので、選択肢から切る可能性を残しておきたいです。」
という感じで、思考の手順をすべて開示してくれました。

なので、「あー、なるほど。ここが着眼点で、先生はこんな感じに見えてるんだ。」ってわかるので、その思考手順を覚えていく感じですかね。

 
スマートに解く方法を説明しても、それを生徒が本番で発揮できないのであれば、それは指導者の責任です。先生自身が泥臭く1点を取りに行く姿を見て、解説には載っていない、思考中の迷いや手順が生徒の心に入り、それが血肉となって本番で活きてくると思っています。

 

【柴立さん】

先生に質問すると、バラバラだったパズルのピースがカチッとはまるような感覚がありました。

「あ、そうか。この一文は前の段落のこれに対する反論だったんだ」みたいな感じで、自分が読み込めていなかった文章の因果関係が浮き彫りになるんです。

まさに、先生の脳内の思考回路を、そのまま私の脳にコピーしてインストールしているような時間でした。

3−3.問題を捨てる:本番での戦術眼

でも、果穂さんに一番伝えたのは、「解き方」と同じくらい「捨て方」だったかもしれません。
早稲田の問題の中には、正直に言って、受験生がその場で完璧に理解して正解を出すにはコストがかかりすぎる「悪問」や「超難問」が混ざっています。その問題を見極める技術も習得してもらってましたね。

 

【柴立さん】

宮園先生が、時々仰ってましたね。

「赤本の説明って、これは言われたらそうかもしれないけど、本番でこの思考レベルまで持っていくのは時間的に無理だと思います。だから、本番なら思い切って捨ててもいい問題です」って。

私は完璧主義の一面があるので、解けない問題があると「自分の実力が足りないせいだ…」と気が滅入ってしまいやすかったです。

そんな性格をわかってくれているからこそ、「取れるべき問題を確実に拾い、落とすべき難問で時間を使わない」という戦略を教えてくれたんだろうと思います。

難しい問題ばかりでパニックになりそうな時でも、「あ、これは先生が言っていた『捨ててもいいやつ』かもしれない」と客観的になれるし、その心の余裕が他の標準的な問題を落ち着いて解くことに繋がっていきました。

第3章まとめ:思考を解剖し、再構築する

解けない問題やわからない問題にぶつかった時、以下の2点を意識しましょう。

●  解説を超えた理解
参考書の解説で満足せず、より詳しい論理展開や着眼点を理解する。

●  戦略眼による取捨選択
すべてを解こうとせず、プロの視点で「捨てるべき問題」を識別する。

第4章:郷中塾のメンタルケア

4−1.理由なき「落ち込み」の正体

 
浪人生活も後半戦になってきた時期から、浪人生特有のプレッシャーや不安から、果穂さんのメンタルが徐々に苦しくなってきましたね。自習席に座って勉強しているんだけど、頭が働いていない状態も散見されました。あの頃のこと、覚えているかな?

 

【柴立さん】

はい…

あれは本当に辛かったです。

勉強時間は確保できているし、過去問解いた手応えも悪くないし、成績は上がってる。

それなのに、ずっと不安がつきまとってきて、「私は本当に受かるんだろうか」「もしまた去年と同じようになったらどうしよう」とか、形のない不安に飲み込まれそうになっていました。

何が不安かわからないけど、ただただ苦しかったです。

自分では何が原因か分からないから、対策の立てようもなくて…

自習席に座っているし、目の前に教材もあるのに、何も頭に入らない…

そんなとき、宮園先生は無理に勉強させるのではなく、「じゃあ、その『モヤモヤ』を教えてくれるかな?」と言ってくれました。

4−2.不安は「未言語化」から生まれる

 
多くの受験生は、不安を「根性」や「気合」で押し殺そうとします。しかし、感情を押し殺しても決して消えることはなく、その不安が心の奥底で溜まり続けているんです。
そして、いつか爆発してしまったとき、その被害は本人のメンタルだけでなく、支えているご家族にまで巻き込むかもしれません。

 

【柴立さん】

昨年の私がそうだったと思います。

不安症なのに、「不安を持ったらダメだ」「緊張してない、緊張してない…」と押し殺していて、それが受験の1ヶ月前に爆発しました。

全く勉強が手につかなくなって、正直合格は厳しいだろうなって絶望がありました。だけど、しばらくすると、急に「何かいける気がしてきた」って根拠のない自信が出てきて。

メンタルがジェットコースターみたいにアップダウンを繰り返してて、今振り返るとしんどかったです。

 
果穂さんが持っている不安の正体は「未言語化」でしたね。
ひとり家の中にいて「ガタッ」ってなると急に不安になる。だけど、「あ、荷物が落ちたのか」と言葉にすると不安が消えていく。これと一緒ですね。

 

【柴立さん】

「不安を言葉にする」って大事ですよね。

いつも相談をしていましたが、長い時は2時間ぐらい話を聞いてもらってました。

最初は断片的だった私の言葉を、先生が丁寧に拾い上げて、パズルのように組み合わせて言語化してくれて、「あ、私はこれを不安に感じてたのか」ってその時に気付くことが多かったですね。

宮園先生は、感情に流されず、客観的な事実との因果関係で推測してくれて、メンタルケアでも支えていただきました。

4−3.不安の「言語化」を訓練する

 
秋以降はほとんど毎日のように相談に来て、「今の気持ちはどんな感じなのか」「どうやったら対処できるのか」一緒に考えましたね。

 

【柴立さん】

宮園先生とたくさん喋るから、徐々に先生の思考力に追いついてきた気がしました。

勉強してて不安になった時、「私は今、早稲田の英語の第2問が解けなかったことで自信を失い、それを浪人生という立場全体の否定に結びつけてしまって落ち込んでいるんだ」と、少しずつですが自分の状態を言語化できるようになってきました。

それからは、メンタルが落ちそうになっても、自分で「今、私はなぜモヤモヤしているんだろう?」と自問自答して考える練習をしました。

最初は難しかったですが、宮園先生と一緒に練習を繰り返すうちに、自分の不安を言語化する精度がどんどん上がっていきましたね。

 
それこそが、果穂さんに教えたかった「精神的成長」です。知識を詰め込むだけの浪人生活でもいいですが、せっかくなら自分という人間を理解し、自分の心をコントロールする術を学ぶ期間として活用してもいいですよね。

第5章:三位一体の絆 ― 家庭・塾・本人の連携

5−1.家庭が「戦場」から「休息」の場へ

 
浪人生活というのは、生徒本人だけでなく、実はご家族にとっても非常に過酷な1年間ですね。
特に現役時代に悔しい思いをしていると、親御さんも「今年は大丈夫なの?」とつい口を出したくなってしまいますが、果穂さんのご家庭はどうだったかな?

 

【柴立さん】

それが、驚くほど何も言われませんでした。

現役時代は、私がリビングで少しスマホを見ているだけで「勉強しなくていいの?」と言われたりして、そのたびに「今やろうと思ってたのに!」ってケンカになることもあったんですけど…

浪人中の1年間は、母から勉強について小言を言われた記憶がほとんどありません。

 
お母様は何をしているか見えないから、不安だから口に出ちゃうだけで、悪気があって言ってるわけではないからね。今年は、私(宮園先生)が果穂さんが今どんな状況にあるか伝えていたので、子どもの頑張りを信じてくれてたのかもしれませんね。

 

【柴立さん】

後から知ったんですけど、宮園先生と母はいつも連絡を取り合っていたんですよね。

私が郷中塾で何を勉強してて、どんなことを悩んでいるとか、私が母に言わなくても知ってる風でした。

先生が共有してくださっていたから、母も安心して「家ではゆっくりさせてあげよう」と思えたんだと言っていました。


【なぜ浪人生の保護者様と連絡を取り合うのか?】
特に浪人生にとって、家庭は「戦場」ではなく「補給基地」であるべきだと思います。
もし、保護者様が子どもの状況を知らなければ、不安からつい「勉強しなさい」と声をかけてしまいがちです。
保護者様の多くは、もちろん良くないと知りつつも反射的に口から出てしまう人がいると思います。そして、私も同じように子を持つ親の立場として、この不安はとても理解できます。
予備校や塾など、家庭外で頑張っていると理解しているつもりでも、いざ子どもが目の前でゆっくりしていると、つい「本当にやっているのか?」と不安になってしまうものです。
しかし、それが生徒にとってどれほどの重圧になるでしょうか?
・「親から信用されていない」と勘違いする子
・「絶対合格しなさい」とプレッシャーを感じる子
・「常に監視されている」と嫌気が差す子
親は子を想い、子はその愛を理解していますが、反抗期や思春期と重なった結果、「うざったく」感じてしまいます。
だからこそ、保護者様には事前に子どもの状況を把握してもらい、家庭を「安息の地」とのコミュニケーションが取れる環境を整備することを極めて重視しているのです。

5−2.保護者との情報共有が優しさを生む

 
実際、お母様の対応は1年間を通して変わったと感じましたか?

 

【柴立さん】

とても優しくなりましたし、不安そうな言葉をかけられることもなかったです。

受験直前期になると、どうしても私が精神的に余裕がなくて、つい母に強い口調で当たってしまうこともありました。

でも、母はそれを静かに受け流してくれました。

受験後に聞いた話ですが、事前に宮園先生が母に「今は過去問演習で精神的に追い込まれて苦しい時期です。あと1ヶ月は続くと思いますので、家では温かく見守ってあげてください」みたいなアドバイスがあったからだと聞いて、先生が母までサポートしていて驚きました。

 
親子の間に第三者の私(宮園先生)が介在することで、不要な感情的衝突を防ぎ、信頼関係を再構築しやすくなります。この「三位一体」の受験戦略は、浪人生へのセーフティネットであり、生徒本人の精神的成長を促すきっかけにもなりますね。

 

【柴立さん】

本当にそうですね。

浪人生活を通じて、私は少しだけ大人になれた気がします。

現役の頃は「自分の力だけで戦っている」と思い込んでいて、周りのサポートを当たり前だと思っていました。

でも、毎日お弁当を作ってくれて、夜遅くても送り迎えしてくれる母の姿を見て、受験は私一人の戦いではなく、両親や先生も一緒に戦うチーム戦だったと気付かされました。

早稲田大学文学部への合格が決まった時、母が私より先に喜んでくれたのを見て、この1年間、母も一緒に戦ってくれていたんだと改めて感じました。

宮園先生とお母さん、そして私がしっかり繋がっていたからこそ、最後まで走り抜けられたと、支えてくれた人全員に心から感謝しています。

第6章:リベンジマッチ、2度目の早稲田大学

6−1.宮園先生からのモーニングコール

 
最後に、いよいよ試験当時の話になります。2度目の早稲田大学の受験日当日、果穂さんと電話したの覚えていますか?

 

【柴立さん】

もちろんです。

試験当日、私は失敗はできないという緊張感でいっぱいで、親も声をかけたくてもかけられなかった状態でした。

ホテルで身支度が終わり、宮園先生から電話がかかってきたとき、その張り詰めていた緊張がスッと溶けていくのが分かりました。

「おはよう!体調はどうですか?」「会話の内容が地に足がついているようなので、いいコンディションだと思うよ!」という先生のいつもの明るい声を聞いて、「私は一人じゃないんだ」と再確認できたんです。

先生の声って、何か元気が出るんですよね。

 
あの時ですが、あえて難しいアドバイスはしなかったです。ただ、「自分に自信を持てなくくて、私(宮園先生)が『絶対合格する』と自信を持ってるので、安心して受験してきてね。」と伝えましたね。

 

【柴立さん】

あの電話のおかげで、不安や絶望を感じることは、ありませんでした。

試験会場の席に座ったとき、宮園先生の声で「大丈夫でしょ!」って言ってる気がして、難しい問題が出ても、「これは先生が言っていた難問だから捨てようかな」と冷静に判断している自分がいました。

リベンジという気負いではなく、この1年間の成果を披露しに行くような、粛々とした気持ちでペンを動かせました。

6−2.「合格」を手にした瞬間

受験してから合格発表まで1週間近くあり、ずっとモヤモヤしていたと思います。そして合格発表の日、とても緊張していたと思いますが、結果を確認した瞬間、どんな気持ちでしたか?

 

【柴立さん】

画面に「合格」の文字が見えた瞬間、頭が真っ白になるというより、全身の力が抜けた感じでした。

誰よりも先に、宮園先生に電話しましたね。

受話器越しに「先生、文学部ですが、合格でしたー」って伝えた時、「よかったー。すぐ連絡来なかったからソワソワしてたよー。」って明るく返してくれて、この時に「本当に合格したんだ」って実感しました。

あの瞬間、1年前の絶望が、すべてこの日のための伏線だったんだと思えました。

浪人してまで行きたかった早稲田大学だったので、そこでの新しい生活が始まるんだと思うと、これ以上ないぐらいの喜びと未知へのささやかな不安が込み上げてきました。

だけど、そんな不安もちゃんと言葉にできるので、身動きが取れなくなることはないでしょうし、どうしていくか考えるだけだなって思っています。

6−3.これから受験を控えるご家庭へのエール

 
最後に、これから「浪人」という孤独な戦いを控えている受験生や、それを見守る保護者の方々に、果穂さんからメッセージをもらえるかな。

 

【柴立さん】

受験生のみんなに伝えたいのは、「教科が偏ってもいいし、不器用でもいいから、自分が納得するまで突き詰めてほしい」ということです。

あれもこれもと欲張るのが苦手なら、まずは一つのことを完璧に理解するまで走ってみてください。その「一点を突破した自信」が、必ず他の科目にも波及していくはずです。

そして、浪人生は言葉には出さなくても、ものすごい不安と申し訳なさを抱えていますので、保護者の方は温かく見守ってください。

郷中塾のように、親子の間に立ってくれる信頼できる場所を見つけて、どうか最後まで「信じて見守る」というサポートを続けて欲しいです。

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終わりに

いかがだったでしょうか?

浪人という孤独で厳しい道のりを歩いてきて果穂さんの1年間の葛藤が詰まっていたと思います。

そして浪人生活は、決して「失われた1年」ではありません。

むしろ、これほどまでに自分を、そして学問を深く見つめ直せる時間は、長い人生においても極めて貴重で尊いものだと思います。

あなたが不安な時、誰が隣にいますか?

それは、
一緒に頑張る友人
支えてくれる予備校の先生
温かく見守る保護者

そんな人たちに囲まれて、苦しい浪人生活を乗り切って欲しいと思います。

そして、その一歩を共に踏み出せる日を楽しみにしています。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。