大学入学共通テストに見る国語力の重要性
皆さんこんにちは。郷中塾の栗山です。
去る1月16・17日、ついに第1回目の大学入学共通テストが実施されました。
それが全く無関係でも無いのです。公立高校入試は大学入学共通テストの改変影響を受ける可能性が大いにあります。
なぜなら大学入学共通テストで求められる能力と、公立高校入試テストで求められる能力は基本的に同一であるからです。
それに伴い今回、文系教科を中心に英語(リーディング)・国語・日本史Bの共通テスト問題を解いてみたわけですが、センター試験とはまるで傾向が変わっており非常に驚きました。
今回は大学入学共通テストに関する文系教科の所感と公立高校入試との関連性についてお話したいと思います。
1.大学入試共通テストの特徴
大学入学共通テストの全体動向としては読解力・情報処理能力が求められる問題が一挙に増え、代わりに知識問題が姿を消しております。
恐らく今の中学3年生でも国語が得意であれば、高校課程の知識が無くても平均点は採れてしまうのではないかと思ったくらいです。
例えば、これまでのセンター試験の英語では発音や文法など知識問題が一定数出題されていたのですが、共通テストでは一問も出題されておりません。
大問1~6までの全てが英文読解に関する問題です。しかも難しい単語や文法はほとんど使われていないのです。中学レベルの英語でもある程度は読解可能だと思います。
しかし、注目すべきは英文読解の内容です。問題数が増加したのはもちろん、長文問題が一挙に姿を消し、表の読み取り・記述に関する問題が急増しています。
これは極めて劇的な変化であると思います。なぜならこれまで表や資料・グラフを使った問題はあまり出題されず対策もおざなりになっていたからです。
それが此度の大学入学共通テストで唐突に大量出題されて脚光を浴びているのです。
※百聞は一見に如かず、と言う事でぜひ以前の問題と見比べてもらえばと思います。
2019年センター試験:https://www.toshin.com/center/2019/eigo_mondai_0.html
2020年大学入学共通テスト:https://edu.chunichi.co.jp/pages/kyotsu2021/
英単語・文法のレベルは中学から少し難しくなっただけで、問題形式のみ急激に変わるとは一体どういう事でしょうか?
これはつまり、純粋な英語力が問われているのではなく、読解力や情報処理能力、もっと言えば国語力が問われる形式にシフトチェンジしている表れだと思います。
2.鹿児島県公立高校入試でも国語力重視の傾向
これは何も大学入学共通テストに限った話ではありません。
鹿児島県公立高校入試においても読解力・情報処理能力を求める問題がじわじわと増えています。
例えば例年、社会・理科の問題では用語問題よりも記述問題の配点が徐々に上がっておりますし、2020年度の英語では初めて表の読み取り問題が追加されました。
しかし、これらはあくまで大学入学共通テストの中身が明らかになる前の話です。
今回、共通テストの問題が公になった事から今後ますます国語力重視の流れは高校入試でも加速していくずと思われます。
そのためにこれからの勉強ではより国語力に焦点を当てた学習が必要になってくると言えるでしょう。
3.読解力・情報処理能力を養成するには?
世間一般では国語力を養成するには幼少期からの読書習慣が最も良い、と言われています。
私もその点には全く異論はありません。読書習慣がある子は得てして読解力・情報処理能力が極めて高い傾向にあります。
しかし、一方で読書を日ごろから行っていない学生でも読解力が高い子も一定数存在しています。
では、なぜ彼らは読書習慣が無いにも関わらず読解力・情報処理能力を会得出来ているのでしょうか?
それは、普段から論理的思考力を鍛える習慣を他教科の勉強に取り入れているからです。
論理的思考能力とは大きく以下の力に大別されます。
① 因果関係(原因⇒結果)を把握する力
② 物事を抽象・具体化する力
これら2つの力は一朝一夕で身に付くものでも無ければ、専門的に学校や塾で学習するものでもありません。普段から行っている思考のクセがそのまま能力に直結しています。
では、論理的な学習とは一体どのような学習なのでしょうか?
ここでは難しい話はせずに、読解力がある子たちに共通した1つの癖をお伝えしたいと思います。
それは、常に学習をする際に「なぜ?」と理由説明を求めている事です。
あまりに単純ですが、論理的思考能力が高い子はすべからくこの癖付けを徹底的に行っています。
例えば、江戸時代末期にイギリスから最も輸入されているのが「毛織物・綿織物」である事を覚える際、多くの生徒は
なんて行動をしているかもしれません。
しかし論理的思考能力が身に付いている子であれば、
なるほど!当時イギリスでは産業革命が起きていて織物が大量生産されていたから英国製の織物は安価で競争力を持っていたんだ!
と因果関係を明らかにしながら覚えています。
普段からそういった思考を勉強に活かしている子は自然と物事に対して原因分析をする力が身に付いています。
そして原因分析をする力が付けば原因から結果を導き出す力も同時に会得する事が出来るのです。
英語・社会・理科・数学など国語以外の教科においても必ず因果関係なるものは存在しています。
あなたは普段の勉強で「なぜ?」と考えながら学習する癖を付けているでしょうか。
分からない単元や物事ほど背後に理由が隠れている場合が得てして存在しています。
決して因果関係を自分1人の力で導き出す必要はありません。
学校・塾の教科担の先生であれば授業や質問で事物に対する因果関係を詳しく教えてくれるでしょう。普段の自学でも積極的に質問を行い、物事の因果関係に注視して成績を伸ばしていきましょう。
4.まとめ
以上が大学入学共通テストにおける国語力の重要性でした。
・国語力重視の傾向は公立高校入試にも波及する可能性アリ
・論理的思考能力は通常学習で養成する事がオススメ
論理的思考能力は国語に限らずあらゆる科目に通ずる総合的な力です。
公立高校入試はおろか、大学入試も見据えて高度な読解力を獲得しておく事が今後求められるのは間違いありません。