【中3生向け】第4回全九州模試(昴模試)の内容を分析しよう!

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こんにちは。郷中塾の平です。

今回は10月30日に行われた、第4回全九州模試の内容について見てみたいと思います!

 

1.第4回全九州模試の平均点

各教科の平均点は以下のようになりました。

 

 国語数学英語理科社会5教科合計3科目
今回
(前回との差)
55.0
(-7.4)
64.8
(+0.1)
57.3
(+1.0)
56.4
(+2.1)
54.0
(-6.6)
287.5
(-10.7)
177.1
(-6.3)
第3回62.464.756.354.360.6298.2183.4
第2回63.458.959.950.753.9286.8182.2
第1回62.755.160.064.056.8298.7177.8
4回平均
(昨年度との差)
60.9
(-2.1)
60.9
(-7.8)
58.4
(+1.6)
56.4
(-0.4)
56.3
(-5.3)
292.8
(-14.1)
180.1
(-8.3)

 

参考までに昨年度の平均点は以下の通りです。

 

 国語数学英語理科社会5教科合計3科目
第4回66.172.360.358.757.3314.7198.7
第3回65.273.863.651.363.4317.3202.6
第2回62.161.953.558.462.0297.9177.5
第1回58.466.749.958.764.0297.7175.0
4回平均63.068.756.856.861.7306.9188.5

 

比較して見ると、昨年平均と比べても今年は全体的に難しかったと言えるでしょう。

また、昨年度と比べて、今年は判定ラインが少し緩やかになっているようですので、一概に比較するのは難しいところではあります。

2.各教科の内容分析

各教科の出題傾向や設問についてみていきたいと思います。

受験をされていない方も参考になるとは思いますが、お手元に問題用紙を用意してもらえれば、より分かりやすいです。

 

なお、記事内で用いる「平均得点率」という言葉は、各大問における平均の得点率を指し、「正答率」という言葉は各問題の正答者の割合を指します。

わかりやすくするために成績個表に載っている言葉を用いていますので、自身の成績個表もご参照ください。

また、〇年度〇〇県という表記は全て公立入試問題を指しております。

 

2-1.国語

初めに全体の平均得点率を見てみましょう。

 

 大問1
(評論)
大問2
(小説)
大問3
(古文)
大問4
(文法・国語常識)
大問5
(漢字)
平均得点率64.4%49.6%42.2%61.0%56.1%

前回は大問2の随筆が73.8%、大問4の文法・国語常識が46.7%だったため、小説問題が難化し、文法問題が易化したと言えます。

各大問をみていこうと思います。

 

大問1の評論は石黒圭の「段落論 日本語の『わかりやすさ』の決め手」からの出題でした。

こちらの評論については複数の年度にわたって出題されたことがあるようです。

著者本人もSNSで以下のように呟いていました。

 

 

出題問題を過去の入試問題(令和3年度長野県、令和3年度福島県)と比較してみると、前述の入試問題では後1段落分本文があったのに対し、今回はその1段落が省略されていました。

そのため、実際の入試問題と比べると少し本文のボリュームは少なかったと言えます。

本文の量が減少した一方で、前回の全九州模試においては、記述問題が最大で30字という指定であったのに対し、今回は60字以内で回答を求める記述問題が出題されました。

正答率は17.4%となり、大問1内における他の記述問題と比べても難しい問題でした。

「流れ」と「構え」の作用を両者の視点から書けていないと部分点やバツという配点になっています。

60字という分量に関わらず配点は3点であったことを加味すると、時間をあまり割かずに他の問題にうつる手もあったでしょう。

参考までに鹿児島県立公立入試では、昨年と一昨年ともに、評論の記述問題は指定字数が65字以内で90点中7点というものでした。

試験の配点によっては回答すべき問題を吟味することも必要ですが、鹿児島県立入試の記述問題は得点割合が大きいため回答が必須となります。

最後の記述問題を除けば他の設問の正答率は55%以上であったため、大問1が得点源になったと言えるでしょう。

 


 

大問2の小説は額賀澪の「競歩王」からの出題でした。

受験後、複数の生徒が「読んだことある!」と言っていました。

こちらは令和3年度岩手県で出題されました。

200字程度冒頭部分がカットされていますが本文の出題箇所はほぼ同じです。

冒頭で小説問題が難化したと述べましたが、具体的には正答率が70%を上回るA問題が1題もありませんでした。

1の脱文挿入の問題は『饒舌に語』る、という言葉の意味を知らなければ回答が難しかったと思います。

3は登場人物の背が高いことがわかる比喩表現を探す問題でした。

正答率が下がった理由としては、未回答ではなく、正答ではない他の箇所を選んでしまったことが理由だと思われます。(塾生で同様の箇所を選んで誤答になっている生徒が散見されました。)

実際の正答箇所は、誤答の部分よりも後ろにあります。

そのため、複数の選択肢を吟味する前に解き進めてしまうと、正答率が高くなる問題を落としてしまう可能性もあります。

直感的に「これだ!」と答えを選ぶのではなく、 客観的に慎重な回答選択を行うようにしましょう。

 


 

大問3の古文は「筑波問答」からの出題でした。

こちらは令和2年度の千葉県で出題されたものになります。

2の傍線部と同じ人物を4字で抜き出させる問題と、『気』の意味を考えさせる問題は実際に出題された問題となります。

ただ、後者については4つの選択肢が与えられていたため、2字を考えて書かせる今回の問題の方が難易度は高かったと言えます。

正答率は7.8%と他の大問と比較しても最も低い正答率となりました。

前回の記事にも記載しましたが、高校入試における古文は文法知識や語彙がほぼ重視されません。

そのため、物語がどういったことを伝えようとしているのかをぼんやりとでもつかむことができれば設問に回答できることが多いです。

苦手意識が強い方は、問題を解いた後に日本語訳を必ず確認し、自分の言葉で物語のあらすじを言えるようにしましょう。

 


 

大問4の文法・国語常識は前述したように易化したため、得点源とできた生徒も多かったことでしょう。

一部正答率の低かった問題としては、2の『美術部で』の文節の成分を答える問題と、3の『楽しさ』の品詞名、7の文節の数を考える問題がありました。

2の成分は「修飾部」という誤答が多かったです。

文の成分には「修飾語」「修飾部」どちらもありますが、それらの違いは「1文節」か「2文節」か、という違いになります。

今回は1文節であったため、前者が解答となりました。

3の『楽しさ』の品詞名は活用語尾を唱えてみれば分かります。

終止形が「楽しい」だと考えれば、イ音で終わるので形容詞、合わせて活用語尾を考えると、「かろ、かっ、く、う、い、い、けれ」となります。

すると『楽し「」』に変化する形はないので形容詞ではない、と分かります。

試しに、助詞「が」や「は」を後ろに続けてみると主格(主語)として文章が成り立つので名詞であることが分かります。

傍線部を「私」など他の名詞に置き換えても文が成立することから確認しても良いでしょう。

7のような文節の数を考える問題は正答率が低くなりやすいです。

「ネ」や「ヨ」を入れて分けていく、という風に習うと思いますが、それでも悩んだ経験がある生徒は多いと思います。

文節の問題で得点するためには「自立語」の理解が必要です。

まず、文節のルールとして「自立語は一文節に1つ」というものがあります。

それでは「自立語」が何かというと、それ単独で意味が理解できるものを指します。

例えば、今回の問題であれば「する」は自立語ですが「ような」はそれだけでは意味が分からないので自立語ではありません。厳密には「ような」は助動詞であるため、動詞に続くことで意味が理解できるものとなります。

他にも、「つくる」と「ことを」は分けて理解できるため文節として分ける必要があります。

とにかく「自立語」を意識して文節分けができれば正答率が上がるでしょう。

 


 

大問5の漢字は前回の77.0%と比べると平均得点率56.1%と低くなりました。

ただ、全九州模試における漢字の配点は他の問題と比べると各1点ずつと配点が小さいので、総点に対してあまり影響はありませんでした。

一方で鹿児島県の公立入試では読み書きそれぞれ3題ずつ、各2点の計12点文出題されますので重要度が上がります。

苦手な人は頻出の漢字が掲載されている問題集を用いて継続的に学習しましょう。

 

2-2.数学

数学は第3回の平均点に対し+0.1点という前回とほぼ変わらない難易度になりました。

各大問における平均得点率もほぼ変わっていません。

 

大問1の計算、小問については特に変わった問題もなく、正答率も半数以上がAランク(70%以上)でした。

(2)では因数分解と平方根を組み合わせた問題や、(3)ではルートを含む数の大小など3年範囲も出題されましたが、基本が分かっていれば易しい問題だったと思います。

(4)は、反比例の式を求めてから代入してyの値を求める問題で、正答率も80.1%と高くなりました。

一方で、第3回で出題されたグラフにおけるyの増加量を求める問題は、正答率が49.6%と低くでていました。

今回できた人も改めてもう一度変化の割合の意味ついては再確認しておきましょう。

(5)の連立方程式の問題は何をx, yと置くか指定されていたため解きやすかったと思います。

公立入試では、xとyの置き方を2種類考えさせて立式をさせるものも出題されます。

今回の問題を用いれば、『お菓子Aの個数とお菓子Bの個数をそれぞれx個とy個として連立方程式をつくりなさい』という形になります。

どのような形でx, yが置かれても対応できるように他の問題でもx, yを別の置き方で立式をつくる練習をしてみましょう。

(6)は球と円柱の図形の体積の比を考える問題でした。

この問題のように複数種類の図形の知識を組み合わせて考える問題は公立入試において頻出です。

球だけ、錐だけ、という問題はほとんど出題されず、体積を等しくする円錐と球の高さの比を答えさせるようなタイプの問題が多いです。

求めたい部分を文字で置くところからはじめることは決まっているので、第一手を間違えないよう気をつけましょう。

 


 

大問2の確率とデータは(1)の①の線分の組み合わせを考えさせる問題を除けばどの問題も正答率が高かったです。

今回はデータの問題における計算があまり細かくならなかったこともあり、他の大問に時間を割く余裕ができたことも平均点増加の要因となっていそうです。

 


 

大問3の平面図形は4題のうち最後の(2)は正答率が0.2%と全問題の中で最も低くなりました。

ただ、(1)の①②の正答率が93.1%、72.9%と非常に高かったため、(1)の③ができるかが得点率の境となりました。

ただし③については「線分比は面積比」ということが頭に入っていればあまり難しくなかったと思います。

④は正答率から分かるように少し悩んで無理そうであれば配点も大きくないため切ってしまうのが賢明でした。

ただ、解く上で必要なのは③と同じく「線分比は面積比」という考え方です。

どこか一つの三角形の面積をxを用いて表せば、問題文で与えられている実数値を使って一次方程式に持っていくことができます。正答率の割には理解がそこまで難しい問題ではないので必ず解き直して理解するようにしましょう。

 


 

大問4の1次関数は(1)が直線の式、(2)が座標を求める問題で定番のものでした。

(3)は座標内の四角形の面積を求める問題で、正答率が3%でした。

求め方としては三角形の面積を求める方法と変わりません。対角線を一本引くことができれば二つの三角形

なります。

(4)は正答率が7%となりましたが、2つの座標のうち片方でも書いていれば3点中2点が入りました。

求め方としては2種類あります。

・(3)の形を利用して解く

Bからy軸に沿ってADに向かって補助線を引き、その交点をQとする。

底辺をQBとすれば高さはAとPのx座標の差となる。

 

・問題中の②と③は同じ傾きの直線であるため、x座標を用いて台形の底辺の長さを考える。

B→C、A→Dのx座標の増加量は合計で52であるから、A→Pのx座標の増加量が26になれば良い。

 

1、2どちらの考え方も完答には等積変形の考え方を理解が必要です。

複雑な計算は不要なので復習の際はじっくり考えてみましょう。

 


 

大問5の空間図形は(1)が垂直な辺の本数、(2)が三角柱の体積を求める問題でこれらは正答率がそれぞれ78.6%と82.8%でした。

(3)の体積の比を考える問題は底面が元の図形に対して1/2倍になっていること、三角錐であるから1/3をかけなければならないことを理解していればすぐに答えが出たと思います。

(4)の体積を求める問題を含め、相似な図形が得意であればかなり得点源となった大問だったといえます。

 

2-3.英語

第3回はリスニングの平均得点率が48.3%(第1回は70.5%、第2回は70.2%)とかなり低いこともあって平均点が大きく下がりました。ただ、今回はリスニングの平均得点率が66.5%と上昇したにもかかわらず、他の大問の正答率が低下したため、平均点は+1.0としかなりませんでした。

比較した平均正答率は以下の通りです。

 

 大問1
(リスニング)
大問2
(適文選択、適語補充、英作文)
大問3
(対話文読解)
大問4
(長文読解)
合計
今回66.5%51.6%56.2%55.2%57.3%
前回48.3%63.0%54.1%58.9%56.3%
得点率増減+18.2%-11.4%+2.1%-3.7%+1.0%

 

前回と同じく、大問1のリスニングでは英問英答が最も低い正答率となりました。

「人々は月曜の午後4時に買い物ができますか?」という問いでしたが、スクリプトでは水曜から日曜の午前10時から午後7時までの時間しか開いていないと言っているので答えは”No, they can’t.” になります。

細かい部分ではありますが、1回目でしっかり質問内容を把握することが要求されました。

 


 

大問2の適文選択、適語補充は前回と比べると分かりやすいものが多かったと言えます。

2.①の“foreign”は副詞である “abroad” との違いを明確にした上で使えるようにしましょう。

③は受動能動の関係に気をつけて“made”を入れる必要がありました。

3.の英作文は3語以上という指定がありましたが、①、②は3語で埋められるものであったため書きやすかったと思います。

③は疑問詞whatを用いたbe動詞を含む疑問文でした。

whatとwhichは直後に名詞をおいて疑問文を作ることがありますので注意しましょう。

 


 

大問3の対話文読解は平均得点率が56.2%でした。

設問内容については、対話文内における適文補充(記号選択)、並べ替え、条件英作文、日本語記述、内容正誤といったものでした。

前回は英文の抜き出しがあったのですが、そこが英作文に変わっています。

並べ替えについては②では、want 人 to、④ではsuch a 名詞の文法知識が問われました。

 


 

大問4の長文読解は平均得点率が55.2%と前回よりやや低下しました。

前回のような英答における語数指定はありませんでしたが、主語と動詞を含む1文で答えること、という指示はありました。

4の(1)のような、交通手段を尋ねる疑問文では  “By 〇〇.” と2語で答えることが可能になってしまうため、それだけではなく主語を人称代名詞( she )に直せるかと言った部分を採点する意図があったと言えます。

6の適語選択には特に紛らわしい選択肢もなかったため、単に時間不足で得点率が下がったことが考えられます。

 

2-4.理科

平均点は前回比+2.1点と微増でした。

ただ、前回は平均得点率50%を切った大問が、大問5(酸化と燃焼)だけだったのに対し、今回は大問4(雲のでき方)が49.8%、大問5(電流の性質)が43.3%、大問6(銅の酸化)が43.4%と平均得点率が低い大問が複数見られました。

また、前回は平均得点率が60%をこえた大問が一つもなかったのに対し、今回は70%をこえた大問が、大問1(生物の成長)と大問2(生物の多様性と進化)の二つもありました。(他は全て60%未満の平均得点率となっています。)

 

大問1の生物の成長では、1の塩酸処理の目的や、3の顕微鏡の使い方の並べ替えなど基本的な知識が問われました。

前述のように、生物分野は思考力より知識単発が問われる問題がほとんどないので得点源にしたいです。

 


 

大問2の生物の多様性の進化は、1と同様、平均得点率は高く、2の出現の遅い動物の仲間と4の始祖鳥の特徴を除けば他3題は正答率85%以上でした。

 


 

大問3の地震の問題は、基本問題しか出題されなかったので満点を目指したいところです。

初期微動継続時間の比例関係を用いた計算問題は頻出ですので、復習の際は実際に計算をして答えを求めるように練習しましょう。

 


 

大問4の雲のでき方は、「雲を作る実験」と、「実際に空気が上昇して雲ができる過程」に関する問題の両方が出題されました。

計算思考問題として難化しやすいのは「実際に空気が上昇して雲ができる過程」の方ですが、今回は易しい問題でした。

1(2)の水滴を作りやすくするための操作は正答率が19.2%と低くなりました。

線香の煙は凝結核、フラスコ内に入れる水は湿度をあげる(水蒸気の供給源)ですのでしっかりと区別をつけるようにしましょう。

 


 

大問5の電流の性質は、熱量に関連する問題で大問の中で最も正答率が低い結果となりました。

複雑な計算が求められたわけではないでのすが、回答に辿り着くまでに2種類の電熱線の上昇温度の計算を組み合わせて考える必要がったため、少しでもミスをしてしまうと答えが出ない問題でした。

電力Wが電圧V×電流Aという式で求められるため、電圧を2倍にすると同じ抵抗を用いれば、電力は2乗で4倍となります。

上昇温度は電力と時間に比例するので電力の数値に注意して解く必要がありました。

最後の5の問題は上昇温度の比率を計算過程に含む必要があったため、少し難しかったと思います。

電熱線Aが5分間に発生させる熱量の大きさJを、電力W×秒Sで求め、100gの水を1.5度上昇させるのに必要な熱量(100×4.2×1.5)で差をとったものが答えになります。

問題文を見ると一見複雑に見えますが計算自体はとてもシンプルでした。

 


 

大問6の銅の酸化の問題は、3の銅の酸化物から酸素を奪うことができる物質をすべて選べ、という問いの正答率が10.3%でした。

酸素原子Oと結びつく原子を含むことを考えれば水素はすぐ選べるのですが、誤って銀を選択した生徒がいたようです。

酸化銀は還元の実験からわかるように加熱しただけで酸素との結びつきがなくなってしまうものなのでそれができません。

残った選択肢からエタノールを選べればそれが答えとなります。

エタノールが有機物(炭素を含む)ことは何回か出題されたことがあるので覚えておきましょう!

 


 

大問7の物質の姿と状態変化は、2の実験の際の注意点と5の質量パーセント濃度を調整する問題がそれぞれ21.8%、30.5%とやや低い正答率でした。

2については蒸留の実験では「試験管に液体をためるときに、たまった液にガラス管の先がつかないようにする」ということを答えさせる問題でしたが、

・「ためるとき」が実験の最中であること

・「たまった液」という言葉を用いなければならないこと

この2点があることで回答に悩んだ生徒が多かったようです。

上記の2点の条件がなければ、加熱をやめる前にガラス管を試験管から取り出すという操作で十分なのですが、今回はそれが使えないものでした。

教科書の実験にも「ためるときはガラス管の先が液につかないようにする」と注意は載っていますので確認しておきましょう。

5は理科というより数学の問題でした。

溶質の量が変わらないのがポイントなので、エタノールの量を全体の5%にするためには水を95%(19倍)すれば簡単に求められます。

 


 

大問8の電池のしくみは、ダニエル電池について問うたもので電流の向きや亜鉛板表面での反応など基本問題ばかりでした。

5の二次電池の選択問題については昨年の公立入試で出題している県もありますので必ず押さえておきましょう。

特に、リチウム電池(一次電池)とリチウムイオン電池(二次電池)は紛らわしいのでしっかりと区別して覚えましょう。

 

2-5.社会

前回の平均点が60.6点と高かったのに対し、今回は落ち込みました。

出題分野としては初めて公民が含まれた回でもあります。

今までは地理・歴史の配点が50点ずつで計100点というバランスだったのが、今回公民が大問5に入ったことで、地理39点、歴史42点、公民19点という配点に変わりました。

各大問の平均得点率は大問1の世界地理が55.7%、大問2の日本地理が58.2%、大問3の近世までの歴史が44.3%、大問4の近代以降の歴史が52.7%、大問5の公民が60.4%でした。

前回と比べると地理の難易度が上がっただけでなく、歴史も難化しています。

大問1の世界地理の平均得点率は55.7%でした。

前回が66.7%であったため、難しく感じた生徒が多いと思います。

4(1)のEUの特色を全て選べ、という問題の正答率が26.8% 、6の他国の生産割合から特定の農作物のアメリカの農業地帯を選ばせる問題の正答率が28.8%と低くなりました。

 


 

大問2の日本地理の平均得点率は58.2%でした。

こちらも前回は71.2%だったため、大幅に難しくなっています。

具体的には正答率が70%をこえるA問題が2問と少なかったようです。(前回は6問ありました。)

2では「促成栽培」を漢字で書かせる問題、4、5では該当するものを全て選ばせる問題などが出題され、難易度が調整されたようです。

 


 

大問3の近世までの歴史の平均得点率は48.1%でした。

特徴的だったのは2の「天平15年」に出された法令の内容を選べというものでした。

冒頭の資料に関連する問いで、大仏造立の詔が聖武天皇によるものだということが分かれば墾田永年私財法であることが分かるのですが、選択肢には班田収授法も混ざっていて少し紛らわしいものでした。

また、3(2)では御成敗式目を定めた人物名を漢字で書かせる問題、4では守護地頭が設置されたのと同じ年のできごとを選べという問題も出題されました。

5(2)のような日本の特定の時代における世界の動きは、苦手とする生徒が多いです。

特定の人物とリンクさせるか、年号を単発でおぼえてしまいましょう。

ただ、3(2)の鎌倉仏教についての適切なものを選べ、という問題や、6(1)徳川綱吉の治世の文化を選ばせるものなど定番のものも出題されていますので、確実に復習を行いましょう。

 


 

大問4の近代以降の歴史平均得点率は56.8%でした。

3では三国干渉に関する問題で「どの国が誘って日本に返還を迫ったか」という問題が出ました。

三国干渉の国だけでなく、ロシアの南下政策と関係していたことを知らなければ選べないものでした。

5はなぜイギリスが香港を支配することとなったのか、戦争と条約の名前を答えるだけのものでしたが正答率は40.8%とやや低くなりました。

江戸時代以降、戦争とその講和条約等、多く出てきますので内容を含め今一度確認しておきましょう。

6、7は共に出来事の年代を問うものでしたが正答率は2%、36.1%と低くなりました。

大正昭和については第一次世界大戦以前とそれ以降で区別をして覚えましょう。

特に、大正デモクラシーにおける争議は頻出なので注意です。

 


 

大問5は公民の人間の尊重と大日本帝国憲法で平均得点率は60.4%で最も高くなりました。

(3)②の社会権に含まれるものを全て選べ、という問題や、(5)の公共の福祉で人権が制限ことがある理由を書け、という問題の正答率がやや低くなりました。

 

3.終わりに

第4回全九州模試と第2回市共通テストが終わり、年内の大きなテストが終わってホッとした生徒もいると思います。

ただ、夏以降に友達の成績がどんどん上がって差をつけられた生徒は今からの時期がチャンスです。

年明けには私立入試が待っています。

その結果を最終判断材料として受験校を決定することを鑑みても、今からの期間をどれだけ学習に費やせるかが鍵となります。

楽しんだ1日が将来をどの方向に変えてしまうかは分かりませんが、後悔しても何も変わらないことは確かです。

とにかく、これからの1日1日を大切にして学習に取り組みましょう。

最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。