鹿児島工業高等専門学校(鹿児島高専)の受験対策を考える

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皆さんこんにちは!郷中塾の初田です。

さて、今回は国立鹿児島工業高等専門学校(略称:鹿児島高専)の受験に関する記事となります。鹿児島高専は県内でも知名度の高い進学校ですが、周囲に受験する人や対策を行っている塾が少なく、中々情報が入りにくい学校でもあります。

そこで今回は進学を希望される方やその保護者の方に、合格に必要なことや対策すべきことを、データを踏まえてご紹介します。

1.鹿児島高専とは

まず簡単に鹿児島高専の概要を説明いたします。

鹿児島高専は鹿児島県霧島市にある五年制の国立高等専門学校です。専門科目授業の割合が高く、実践的な技術者を養成することを目的としています。

気になる就職率は令和2年度で卒業生の求人倍率が25.6倍、就職率は100%となっています。多くの工業専門学校がそうであるように鹿児島高専も就職状況は非常に良いと言えるでしょう。

2. 入学者の選抜

2-1.選抜方式

試験は大きく推薦選抜と学力選抜に分かれます。

推薦選抜

試験内容:在籍学校からの調査書、推薦書及び面接

・学業成績や部活動、生徒会活動の実績などの、鹿児島高専の定めた条件を満たす者

・調査書は在籍学校の中学三年次の一学期二学期の9教科5段階評定の計90点

 

学力選抜

試験内容:学力検査、調査書及び面接

・数学200点、英語100点、理科100点、国語100点の4教科筆記試験(マークシート方式:OMR)で合計500点満点

・調査書は在籍学校の中学三年次の一学期二学期の9教科5段階評定の計90点

普通の学校と変わりないのね。推薦枠って少ないんでしょう?

それがそうでも無いのです。鹿児島高専は推薦選抜の合格者数が非常に多く、年度によっては志願者に対して半数以上が推薦者で占めている事もあります。

参考に令和2年度の合格資料をご覧ください。

このデータを見る限り、各学科の全定員40名に対し推薦合格者の数が非常に多い事が伺えます。

例えば、電子制御工学科・情報工学科の2学科においては推薦合格者の数が多かったために学力選抜の合格者数が少なくなり、結果として学力選抜試験の倍率が上がっている事が伺えます。

つまり推薦選抜者の動向は学力選抜の動向に大きな影響を及ぼしているのです。

推薦選抜者の合格状況を見て、学科を決める事はできるの?

可能です。例えば、令和2年度の入試形式で言えば、

推薦選抜者の合格発表日:令和3年1月25日

学力選抜の願書受付:令和3年1月27日~2月2日

となっています。

スケジュール的には推薦選抜者の合格発表後に学力選抜の申し込みが可能です。しかし、各学科に推薦選抜者がどのぐらい受かっているかどうかを知れるかどうかは公表資料によって異なると思いますのであくまで参考程度に留めておいてください。

では、具体的に学力選抜試験の概要をこれからお話していきたいと思います。

2-2. 各学科の募集

鹿児島高専は県下三校と並び難易度が高い学校として有名ですが、内実は学科によって違うようです。それを大きく表しているのがこちらの倍率推移です。

    学科募集人員
令和3年度令和2年度平成31年度平成30年度
機械工学科40名1.172.381.20 1.54
電気電子工学科40名2.561.131.741.73
電子制御工学科40名1.552.213.190.77
情報工学科40名2.353.003.622.63
都市環境デザイン工学科40名2.841.112.941.64
合計200名2.001.882.271.55

出典:https://bit.ly/3ttZZab

これを見ると高専全体の倍率は概ね2.0前後で推移していますが、学科別にみると倍率が大きく違う事が分かります。加えて年度によって倍率変動も大きくなっております。

例えば、令和3年度の都市環境デザイン工学科は2.84倍という高倍率でしたが、令和2年度はわずか1.11倍しかありませんでした。このように年度によって各学科の難易度は大きく変動するものだと思われます。

3. 学力検査各科目の傾向

3-1.数学(100点×2の200点換算)

 配点内容
大問130点計算問題/方程式、関数、グラフ/平面図形/場合の数、確率/統計の基本問題など
大問220点規則性の問題/関数及びグラフ問題/平面図形立体図形などが頻出
大問320点上に同じ
大問420点上に同じ

まずは基本的な公式や定理を理解し使い慣れておきましょう。計算するだけの問題や公式を使うだけの問題は素早く計算し、難しい問題には時間をかけることが必要です。またマークシート式では問題の難易度に比べ配点が小さいことがあります。得意な問題を先に解くなどの工夫も重要です。

大問2〜3は(1)で求めた値や長さなどを(2)で利用して解くといった、前の問題を使って次の問題を解く場合が多いです。この流れを掴むことを意識して練習しましょう。

規則性の問題や図形問題は苦手とする人もいると思いますが、差がつくところなので対策しておきたい分野です。

3-2.英語

 配点内容
大問1各2点×5同じ意味になるように2つの文章を穴埋め
大問2各3点会話文の流れから適切な返答を選択
大問3各3点文章の空欄に合う単語を補充
大問4各3点会話の中の一文を、単語を並べ替えて完成
大問5各3点文章の内容理解
大問6各3点文章の空欄補充

出題形式は固定されているので過去問を利用してこの形式に慣れましょう。数学と同様に問題数が多く、時間配分に注意しなければ問題を解き終わらないまま時間が来てしまいます。全50分しかないので長文問題を10分から長くても15分程度で回答できるように、大問ごとに時間を計りながら解くなどの練習をすると良いです。

長文を早く読むには、英単語、文法などの基礎に加えて、文章の中でmain sentence(結論や要点を述べる文)とsupporting sentence(例や付加情報を述べる文)を見分け濃淡を付けて読んだり、問題文や最終段落から内容を予測して読んだりなどのテクニックも必要になってきます。繰り返し長文問題に触れ、問題をこなしていくと段々解くスピードは上がっていきます。

また、大問1以外は一律3点となっていて文法問題と長文問題で点数に傾斜がなく、文法問題も重要な得点源になります。対策としては、文法事項を1から勉強し直すのは(勉強量として)キリがないので、分からない問題に出会うたびにそこを復習するのがオススメです。

3-3.理科

理科は大問7〜8程度です。各大問の配点は15点前後で合計100点程度となっております。出題においても生物、物理、化学、地学からまんべんなく出されています。

各分野から広く出題されるため苦手な分野や単元をそのままにしないことが重要です。過去問を早めから解き始め、自分の分かっていないところを見つける勉強の仕方がオススメです。

教科書レベルの問題に加え、グラフを使った問題や計算問題、思考力を要する文章選択問題なども出題されます。始めのうちは時間内に解き終わらないかもしれませんが、最初のうちは試験時間をオーバーしてもしっかり考えて解いて、慣れてきたら50分の中で解き終われるように頑張ってみましょう。

3-4.国語

 配点内容
大問1各2点漢字
大問2各3点古文・評論
大問3各3点論説文
大問4各3点小説

漢字は比較的易しいので全て正答したいところです。どの問題も文章が長く時間内に回答できるように練習が必要です。

英語の長文同様に問題文に先に軽く目を通してから読み始めるのがオススメです。
他の科目に比べ問題数は少ない分、一問の間違いで点数の差が付きやすくなっています。国語は回答の選択肢を何となく選んでしまっている人もいます。正答率を上げるために、過去問を一度解いた後に正解の根拠となる記述や表現(間接的なものも含め)を改めて探すことをしてみてください。勘ではなく根拠を持って選択肢を選べるようにしましょう。

4.まとめ

鹿児島高専の試験問題は形式が独特で、過去問を利用して解き慣れておくことが重要です。早めから対策に取り組み始め、余裕を持って本番に臨みましょう!そして合格を掴み取りましょう!

最後までご覧いただきありがとうございました。