【検証】鶴丸・甲南・中央高校の学区外受験はどのぐらい難しいのか?
皆さんこんにちは!
郷中塾の栗山です。
鹿児島の県立トップ三校である鶴丸・甲南・中央は言わずもがな鹿児島市外からも受験する事が可能です。
しかし、市外からの「学区外受験」は一般受験と比べて難易度が高くなっております。

例えば昴さんが出している公立高校難易度表を参考にすると、鶴丸・甲南・中央の学区外受験はいずれも一般受験と比べて偏差値が2~3ほど高くなっています。
また、統一模試や全九州模試などの判定も学区外受験の方が厳しめの判定となっております。

そこで今回は鶴丸・甲南・中央の「学区外受験」がどのぐらい難しいのか見ていきたいと思います。
鹿児島県立入試の一定枠(学区外)受験の簡単な概要
学区外受験は鹿児島市内の公立高校を市外からでも受験できる制度です。
現在、鶴丸・甲南・中央高校など一部の市内公立高校が導入しています。

もちろん定員には限りがあり、「受験校が定める募集定員の5~10%以内」と決まっています。
鶴丸・甲南・中央であれば3校とも320名が募集定員で、学区外受験の定員は32名となっております。
第3条の2 全日制の課程のうち普通科を置く高等学校の校長は,当該高等学校の募集定員の100分の5から100分の10までの範囲内で所属学区等が当該高等学校の属する学区以外の学区である志願者について入学を許可できる数をあらかじめ定め,県教育委員会に報告するものとする。

確かに学区外からの受験者数は少なく、鶴丸・甲南・中央ともにおよそ30~50名ぐらいで推移しています。
豆知識ですが、学区外受験は特に姶良市・薩摩川内市・霧島市からの受験が多いと言われています。
そもそもなぜ学区外受験は難しいのか?【要確認】
さて、そんな学区外受験ですが、なぜ一般受験と比べて難しいのでしょうか?
理由は大きく2つです。
まず1つ目が「学区外受験者は、必ず一般枠も含めた全体の合格最低点を上回っていないと合格にならない」ということです。
例えば学区外の定員が32名なのに対して実際の出願数が30名だったとしましょう。
はたから見れば定員割れを起こしているので、学区外受験者は全員合格になりそうだと思いそうですが、もちろん違います。

ですので、たとえ学区外受験者の中では定員以内の順位であったとしても、点数が320番目の人を上回っていないと不合格となるのです。
つまり言い換えれば、「学区外の受験倍率がどうであろうが、必ず一般枠以上の難易度に調整される」ということです。
学区外受験が難しい2つ目の理由は「合格最低点が異常に高くなる可能性がある」ということです。
当たり前ですが、学区外受験者は募集定員の10%、鶴丸・甲南・中央であれば32名を超えて合格する事はできません。
つまり、上位32名が超成績優秀な子たちであれば、合格最低点が非常に高くなる恐れがあるのです。
極端な例を申しますと、学区外の上位32名が全員400点であれば、どんなに全体の合格最低点と開きがあったとしても、それが学区外の合格最低点になるのです。

確かに受験者数が多ければ上位層の比率は現実的な割合に落ち着いていくので、極端に合格最低点が高くなることはないでしょう。
しかし先述の通り、一定枠の出願数はおおむね30~50人程度と非常に少なくなっております。
つまり年度によっては、超成績上位層が集中してしまうリスクがあるのです。

以上の事から、学区外受験は一般枠より確実に難しくなり、さらに合格最低点が非常に高くなるリスクがあるのです。
そして、一般的に受験者数が多ければ多いほど成績上位層の数が多くなりますので、倍率と難易度はある程度比例しているのでしょう。
鶴丸高校の学区外受験の難易度
まず鶴丸高校の学区外受験の倍率から見ていきましょう。
年度 | 一般倍率 | 学区外倍率 | 一定枠定員 | 出願数 |
---|---|---|---|---|
R5年度 | 1.24 | 1.34 | 32 | 43 |
R4年度 | 1.45 | 1.56 | 32 | 50 |
R3年度 | 1.22 | 1.47 | 32 | 47 |
R2年度 | 1.34 | 1.03 | 32 | 33 |
H31年度 | 1.19 | 1.40 | 32 | 45 |
見て分かる通り、ほぼ全ての年度で学区外受験の高倍率が続いており、相当難しいことが伺えます。
わざわざ市外から鹿児島市に通うわけですから、トップ校の鶴丸高校が人気になるのも必然と言えます。

確かに令和2年度は学区外の倍率が非常に低い年度でした。
学区外は受験者数が少ないので、出願数が少し上下するだけで倍率が大きく変動します。
しかし、令和2年度の様に倍率が異常に低くなる年度は極めて稀でしょう。
甲南高校の学区外受験
次に甲南高校の学区外受験の倍率を見ていきましょう。
一般倍率 | 学区外倍率 | 一定枠定員 | 一定枠出願者数 | |
---|---|---|---|---|
R5年度 | 1.48 | 1.38 | 32 | 44 |
R4年度 | 1.33 | 1.56 | 32 | 50 |
R3年度 | 1.45 | 1.38 | 32 | 44 |
R2年度 | 1.27 | 1.50 | 32 | 48 |
H31年度 | 1.45 | 1.22 | 32 | 39 |
鶴丸高校と違い、学区外受験の倍率が毎年大きく変動しています。
この傾向をそのまま受け取れば、高倍率の翌年は低くなるのかもしれませんね。
さて、特に高かった令和4年度の倍率は1.56倍もありますね。この年度は一般受験の合格最低点が340点台なのに対し、学区外受験者の合格点は380点近くだったとも言われています。

鹿児島中央高校の学区外受験
最後に鹿児島中央高校の学区外受験の倍率です。
一般倍率 | 学区外倍率 | 一定枠定員 | 一定枠出願者数 | |
---|---|---|---|---|
R5年度 | 1.59 | 0.98 | 32 | 30 |
R4年度 | 1.44 | 1.16 | 32 | 37 |
R3年度 | 1.42 | 1.00 | 32 | 32 |
R2年度 | 1.53 | 0.75 | 32 | 24 |
H31年度 | 1.63 | 0.88 | 32 | 28 |
鶴丸高校・甲南高校と比べて「学区外受験が長らく定員割れを起こしている」事が分かります。
つまり、鹿児島央高校の学区外受験の難易度は、ほぼ一般入試と変わらないのです。

もちろん定員割れを起こしていれば、一般入試と同じ難易度で受けることができます。
しかし、鹿児島中央高校の一般入試自体が近年急速に人気を高めているので、結局一般入試が難しくなれば高難度での受験になります。
このように学区外受験の方々は、一般入試の難易度と学区外受験の難易度の両方を考えないといけないのです。
まとめ
以上が鹿児島県立入試における鶴丸・甲南・中央高校の学区外受験の倍率についてのお話でした。
① 学区外受験は必ず一般枠以上の難易度になり、難度が跳ね上がるリスクもある
➁ 鶴丸・甲南・中央で学区外受験の特徴が大きくちがう
③ 学区外受験は市内からの一般受験と学区外受験の両動向を見なければならない
今回のお話を通して言えるのは「学区外受験を受けるなら相当の完成度まで仕上げておく事が望ましい」ということに尽きます。
鹿児島市外には学習塾が少ないのでライバルのレベルも低いと思われがちですが、全九州模試の成績優秀者にも統一模試のTOP100以内にも非常に多くの学生が市外からランクインしています。
