【検証】鹿児島県公立入試の出願倍率から分かる傾向とは?
皆さんこんにちは。郷中塾の栗山です。
去る2021年2月16日に令和3年度の公立高等学校入学者選抜学力検査出願者数が発表されました。三校の出願状況はと言うと、鶴丸1.28倍、甲南1.66倍、中央1.58倍となっております。
今回の第一次出願倍率を目にして、
と喜んでいる人もいれば、
と戦々恐々している人もいると思います。
私は今回の結果を目にして、三校とも例年に比べてそこまで大きな差は無い、と感じました。
確かに去年の倍率から考えれば鶴丸高校の倍率が大きく下がる一方で、甲南高校は一気に伸びているように思えます。
しかし、過去5年間の数字で見たらどうでしょうか?
鶴丸高校は一次出願の平均倍率が1.33倍程度、甲南高校は1.54倍程度と本年度の倍率とそこまで大きな開きはありません。特に甲南高校はここ最近人気が上がってきており、2年前・3年前は1.70倍にも達していました。
過去のデータは当年度の入試分析を行う上で大きな参考になります。
そこで今回は過去5年間の入試倍率を参考にして鹿児島県公立高校入試の最終出願数の動向について分析したいと思います。
1.鶴丸・甲南・中央は最終倍率で下がる確率が高い
まず、過去5年間の鶴丸・甲南・中央の出願倍率をまとめましたのでご覧ください。
まず本データを見て最初に分かる事は、過去5年間で鶴丸・甲南の倍率が最終出願数で上がった事は1度もないと言う事です。
唯一、中央高校が2019年度に最終倍率が1度だけ上がったのですが、それでもたった「+0.01」伸びたに過ぎません。
この様に三校志望者の出願倍率は最終発表で減少する傾向にあります。
中でも減少幅が著しいのが甲南高校です。鶴丸・中央がほとんど変わらないのに対して、甲南高校は毎年大きく変動しています。これは難易度として、鶴丸・中央の間に位置しており、両校から相互に志願変更の影響を受けるからでしょう。
ハッキリとした理由は分かりませんが、リスク回避の動きが優先しているからだと思います。
行動経済学でノーベル賞を受賞した研究に「プロスペクト理論」と言うものがあります。これは不確実性(何が起こるか分からない)の状況下で人々がどのような意思決定を下すのか研究した学問です。
これによると、人々は未来がどうなるのか分からない状況では、利益獲得よりも損失回避を優先して行動する事が述べられています。
例えば①100%当たるが5,000円しか貰えないくじと、②50%しか当たらないが10,000円貰えるくじがあったとして、期待値が同じであるにも関わらず心理的には前者を選択する人が多くなります。これは10,000円が当たった時よりも本来貰えていた5,000円を失った時の方が喪失感を感じるためだと言われています。
このように、例年通りの傾向で言えば三校志望者が減少すると分かっていても「何が起こるか分からない」としてリスク回避を行う動きが起こるのではないかと思います。
2.志望校を上位校に変更する人たちは少ない
恐らく最終出願で上位校に変更する動きは非常に少ないと思います。
そのヒントになるのが2019年度入試です。この年の一次倍率は鶴丸がたった1.22倍なのに対し、甲南は1.70倍でした。
本来であれば甲南から鶴丸に出願変更をしても良いくらいなのですが(事実この年は甲南高校の方が合格最低点が鶴丸より高かった)、蓋を開けてみると鶴丸高校の倍率は1.19倍まで下がりました。
このようにたとえ倍率が低かったとしても、心理的に上位校に出願変更する事は抵抗があるのだと思います。
3.2021年度入試で最終倍率はどうなるのか?
本年度の出願倍率は鶴丸1.28倍、甲南1.66倍、中央1.58倍ですが、これと非常に近い倍率だったのが2018年度入試です。
この年の一次倍率は鶴丸1.29倍、甲南1.70倍、中央1.51倍でした。
最終的に鶴丸1.28倍(-0.01)、甲南1.47倍(-0.23)、中央1.48(-0.03)倍まで下がりました。
恐らくですが、甲南の一次倍率が非常に高く、鶴丸から甲南への出願変更の動きが進まなかったのではないかと思います。
もちろん2021年度入試がどう動くかは分かりませんが、受験生の心理状況は当時と近しいものだと考えております。
当時のデータを参考にするならば恐らく本年度は最終倍率で鶴丸高校が微減、甲南高校は大幅減、中央高校は微減する流れになると思います。
4.まとめ
以上が鹿児島県公立高校入試における学力検査出願数に関するお話でした。
・鶴丸・甲南は過去5年間で一度も最終出願数が上がった事は無い
・本年度は最終倍率で鶴丸高校が微減、甲南高校は大幅減、中央高校は微減の予想
あくまで入試倍率は参考数値に過ぎません。倍率が低くなったからと言ってチャンスタイムだと断じるのは非常に危険です。
最後まで気を緩めずに入試最終日まで走り切りましょう。
最後までお読み頂きありがとうございました。