【その学部、本当にお金を稼げるの?】職業と年収の関係を徹底分析!

  • 大学受験

こんにちは、郷中塾の宮園です。

志望校に悩む高校生や保護者のみなさん、
今まで一度は悩んで下記のような結論に至ったことはありませんか?

・偏差値の高い大学を選んでおけば間違いないだろう
・将来やりたいことはないけど、とりあえず有名大学に行きたい

こんな風に、大学選びを「なんとなく」で進めてしまう人は、決して少なくありません。

しかし、そのような選択が、実はその後の人生の年収やキャリア、ひいては幸福度にまで大きな影響を与えるとしたら、どうでしょうか?

今回は、文部科学省、厚生労働省といった公的機関のデータや大学教授が発表している論文などに基づき、大学受験のその先にある「キャリア」と「人生」を豊かにするための具体的なヒントを解説していきます。

はじめに:なぜ『学部』と『職業』を考えるべきなのか?

大学受験は、多くの高校生にとって人生の一大イベントです。

志望校を決める際、「偏差値が高いから」「なんとなく有名だから」といった理由で、進路を選択した人もいるかもしれません。

将来の夢がまだ漠然としている場合、「とりあえず行きたい大学」を決めること自体は悪くありませんが、改めて将来を考えて大学や学部を選択する機会はとても重要です。

いい大学に行けば安心というわけではないですか?

以下の表をご覧ください。

これは、文部科学省や厚生労働省が公表しているデータに基づいた、理系と文系の将来についてまとめた概要です。

項目文系学部理系学部参考出典
平均初任給約21.5万円約22.5万円厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
就職先の傾向サービス業、金融、教育などIT、製造、医療、インフラなど文部科学省「学校基本調査」
正規雇用率大学・学部によりばらつきあり全体的に比較的高い傾向文部科学省「学校基本調査」

※上記の数値は一例であり、個人の努力やキャリアパスによって変動します。

このように、理系文系の選択だけで職業の選択肢が決まり、そして選んだキャリアによって、働き方や仕事の安定性にまで大きな差が生まれることが読み取れます。

これは、単に「大学を卒業すれば将来は安泰」という保証が不十分であることを示唆しています。

これは、大学で何を学ぶか、そしてどのようなキャリアを歩むかが、将来の経済的な安定に直結していることを意味します。

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第1章. 学部・学科が将来の「年収」に与える影響

第1章−1. 「文系vs理系」のリアル

「理系は稼げる」という漠然としたイメージを耳にしたことがあるかもしれません。

これは単なる噂ではなく、浦坂氏・西村氏・平田氏・八木氏(2010)の論文による「理系出身者の所得が文系出身者の所得よりも高い」という結果と、現在のテクノロジーや医療の需要が相まって、ますます社会的通念になっていると私は考えています。

参考資料:理系出身者と文系出身者の年収比較 –JHPSデータに基づく分析結果–

参考資料では、46歳の男性の平均所得が理系601万、文系559万という結論でした。

では、現在はどうでしょうか?

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」から、産業別の平均賃金をまとめましたので比較してみましょう。

産業平均年収(万円)
鉱業、採石業、砂利採取業37.23
建設業35.26
製造業31.86
電気・ガス・熱・水道業43.75
情報通信業39.10
運輸業、郵便業30.24
卸売業、小売業34.36
金融業、保険業41.06
不動産業、物品賃貸業37.16
学術研究、専門・技術サービス業40.18
宿泊業、飲食サービス業26.95
生活関連サービス業、娯楽業28.57
教育、学習支援業37.62
医療、福祉30.64
複合サービス業30.69
サービス業
(他に分類されないもの)
28.58

参考サイト:令和6年度賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省

※こちらの情報は、大学卒業者のみに絞っておらず、全学歴の人を対象にしています。

この表から平均賃金を見てみると、理系産業では「電気・ガス・熱・水道」「情報通信」、いわゆる文系産業の「金融・保険」「不動産・物品賃貸」などが高収入であることがわかります。

今後の人生設計を考える上では、単に「理系か文系か」という大きな括りではなく、「どの分野で、どんなスキルを身につけて、どの産業で働くか」を具体的に将来を描くことが重要になるでしょう。

わずかな差であっても、この平均任給の差は、長期的なキャリアにおいて無視できない影響をもたらします。

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第1章−2. 「キャリアの安定」につながる入職率と離職率

就職する際、年収だけでなく、キャリアの安定性も重要な要素です。

・高収入だけど離職率が高い
・やりがいはあるけど安定した収入が望めない

など、将来の産業や職業のワークライフバランスを考えて大学や学部を選択することも、激動の社会に出ていく学生には重要な着眼点になってきます。

厚生労働省の「雇用動向調査」などのデータから、産業ごとの離職率や求人倍率を読み解くことができますので、さっそく見ていきましょう。

産業入職率(%)離職率(%)
鉱業、採石業、砂利採取業9.49.3
建設業10.010.3
製造業9.28.7
電気・ガス・熱・水道業7.49.4
情報通信業11.112.4
運輸業、郵便業9.59.4
卸売業、小売業10.611.4
金融業、保険業8.410.6
不動産業、物品賃貸業12.213.4
学術研究、専門・技術サービス業10.410.0
宿泊業、飲食サービス業19.818.2
生活関連サービス業、娯楽業19.220.8
教育、学習支援業10.19.5
医療、福祉13.613.3
複合サーボス業5.56.8
サービス業
(他に分類されないもの)
19.919.3

参考サイト:令和5年度雇用動向調査の概要|厚生労働省

娯楽業って楽しそうだけど、離職率高いんだ…
電気とかのインフラは、給料も高いし離職率もそんなに悪くないのかな?

企業や職場の雰囲気によって入職率や離職率は大きく変動しますが、一般的には特定の専門スキル(国家資格や専門職など)を持つ人材は、景気変動に左右されにくく、転職市場でも高い価値を持つと言われています。

重要なのは、安定したキャリア形成のために大学生のときから何を学ぶか、ということです。

第2章:各大学の就職状況から将来を考える

この第2章では、大学入試においては軽視されがちな「就職」について、深く理解したいと思います。

いい大学に行けば有名企業に入れる!
大学のホームページに「就職率95%以上」って書いてました。

大学の偏差値やホームページの就職率などの裏側に、どのような実態が隠れているかまで深く考える人は少ないかもしれません。

これからお話しする内容は、本質的な「就職の質」を測る指標の一つである『大手企業・優良企業への実就職率』について徹底的に解説します。

第2章-1. 表面的な「就職率」が語らない真実

まずは、文部科学省の「学校基本調査」や厚生労働省の「雇用動向調査」といった公的なデータから、大学卒業後の進路が多様化していることが読み取れますので、確認していきましょう。

大学(学部)卒業者
雇用形態
割合(%)
進学者12.6
就職者76.5
有期雇用労働者
(雇用契約期間:〜1年)
0.9
臨時労働者0.6
臨床研修医1.7
上記以外の者7.7

参考サイト:令和6年度学校基本調査-結果の概要|文部科学省

「上記以外の者」って何ですか?
「上記以外の者」に含まれているのは、卒業と同時に起業した人や就職しなかった人などが含まれています。

そして、この進路状況を念頭に、実際に行われている「大学の就職率」の一例をお伝えします。

【大学の「就職率」の裏側
例えば、ある大学で「就職者」としてカウントされてた卒業生は、実のところ全員「正規雇用(正社員)」ではなかったという事例があります。
一概に「就職者」と言っても、非正規雇用や契約社員、派遣社員といった、必ずしも安定しているとは言えない雇用形態が含まれているのです。
また、近年はフリーランスや起業家として活動する人も増えており、これらの人々を「就職者」と定義するかどうかは、大学によって判断が異なります。
どの状態を「就職」と定義するかは、大学側の価値観や倫理観によって異なるということですね。

よって、単なる「就職率」だけで『就職の質』の良し悪しを判断することは、とても危険な行為だといえるでしょう。

大学が公開している就職実績の詳細を確認する際には、単に就職率の数字だけでなく、「正規雇用者の割合」や「卒業後3年以内の離職率」といった、より具体的なデータに注目することが不可欠です。

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第2章-2. 大手企業・優良企業への『実就職率』

大手企業や優良企業への就職は、単に「社会的ステータスが高い」というだけでなく、キャリアの安定性、待遇、そして長期的な成長機会において、大きなメリットをもたらすといわれています。

ということで、この3点について解説したいと思います。

1.安定性

大手企業は中小企業に比べて財務基盤が安定しているため、景気変動の影響を受けにくく、リストラ等のリスクも比較的低い傾向にあります。

また、福利厚生制度が充実しているため、結婚や子育てなどライフスタイルが変更しても、安心して働き続けることができます。


2.待遇

厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」によると、企業規模が大きくなるほど、平均賃金が高くなる傾向がはっきりと見て取れます。

大手企業では、初任給が高めに設定されているだけでなく、昇給やボーナス、退職金制度なども手厚いことが多く、長期的な収入の安定に繋がります。


3.成長機会

大手企業では、多様な人材が集まるため、多くの人々と協働する中で、ビジネススキルや専門知識を磨くことができます。

また、新人研修やOJT(On-the-Job Training)が体系的に整備されていることが多く、社会人としての基礎をしっかりと築くことができます。

さらに、海外事業や新規事業など、様々なキャリアパスを選択できる機会が豊富に用意されていることも、大きな魅力と言えるでしょう。

では、実際にどの大学が有名企業へ就職しているのでしょうか?

東洋経済新報社が発表する「有名企業400社実就職率ランキング」を参考に、各大学の就職状況についてみていきましょう。

順位大学名就職率(%)就職者数(人)
1豊田工業大学61.144
2東京科学大学48.6872
3一橋大学48.2417
4名古屋工業大学46.7427
5東京理科大学44.01,172
6慶應義塾大学43.92,831
7電気通信大学43.0295
8九州工業大学37.1354
9早稲田大学36.73,526
10大阪大学36.21,566
11芝浦工業大学36.1577
12名古屋大学35.2891
13横浜国立大学33.8647
14上智大学32.51,825
15同志社大学32.51,845

参考サイト:2025年最新版!「有名400社への就職に強い大学」ランキング。2年連続で“あの大学”が1位に|東洋経済オンライン

違和感を覚えた人もいらっしゃると思いますが、東洋経済新報社が「有名企業・大手企業」と位置付けている企業は、多くが理系関連企業になるので、私個人としては少なからず情報の偏りはあると思います。

ただ、東洋経済新報社が発表する「有名企業400社実就職率ランキング」は、就職状況を客観的に評価したもので、大学の『本当の就職力』を測る一つの指標としては有用だと思い、今回ご紹介しました。

インターネット上で概要が一部公開されているため、気になる方はチェックしてみてください。

第2章-3. 「実就職率」を測る情報収集術

では、どのようにすれば、大学の「本当の就職力」を見抜くことができるのでしょうか。

ここでは、信頼性の高い情報源の見つけ方と、その情報活用方法を具体的に解説したいと思います。

【大学が公表している「主な就職先」リストの分析】

各大学の公式ホームページやパンフレットには、『主な就職先』リストが掲載されています。このリストを「へー、知ってる企業があるなー」と単に眺めてだけでなく、以下のポイントに注目して分析することが重要です。

① 掲載企業の知名度

確認事項:大手企業や有名企業がどの程度含まれているか。
これは、「見えない学歴フィルターによる書類審査での不合格」「大学側や学生側の就職に対する熱量や環境」を示唆する情報となります。

② 業界の偏り

確認事項:特定の業界(金融、IT、製造など)に就職先が集中しているか。
これは、「その大学がその業界に強いコネクションや専門性を持っているかどうか」を判断する際に有用な情報です。

③ 掲載企業の数

確認事項:掲載されている企業の数が多すぎないか。
一見すると就職先の多さはメリットに感じますが、「数が多すぎる=個々の企業の就職者数が少ない」という可能性があり、特定の企業への強いパイプがあるとは言えません。

主な就職先リストを分析すると、どの企業にパイプがあるのか、就職が有利な業界はどこか、等がわかります。

第2章−4. 具体例で見る大学ごとの就職傾向

ここでは、架空の大学を例に挙げて、具体的なデータの読み取り方や就職傾向の違いを見ていきましょう。

【ケース1:A大学経済学部】

A大学は、都心に位置する歴史ある大学で、特に経済学部では、金融工学や国際経済学に力を入れていると仮定しましょう。

卒業生の産業別就職者数を見ると、以下のような特徴が見られました。

・金融業・保険業: 60%
・公務員: 10%
・情報通信業: 8%
・サービス業: 7%
・その他: 15%

これは特徴が読み取りやすいと思います。

このようなデータを見ると、A大学の経済学部は、メガバンクや証券会社、保険会社など、金融業界への就職に非常に強いことがわかります。

そして、この情報から
「大学が都心エリアに近いことで、金融機関が大学周辺に多い」
「金融業界で活躍するOB・OGのネットワークが充実している」
などの、立地条件の良さや卒業生とのパイプが強固である可能性が視野に入ります。

就職活動時の強みまで分析・考察できるといいですね。

【ケース2:B大学経済学部】

B大学は、地方の有力大学としましょう。その経済学部では、地域経済の活性化や地方創生に焦点を当てたカリキュラムが充実しています。

仮に、卒業生の産業別就職者数が以下のような特徴だと何が読み取れるでしょうか?

・公務員: 40%
・製造業: 20%
・地方銀行、信用金庫: 15%
・サービス業: 10%
・その他: 15%

公務員が多いとか…?

B大学の経済学部は、A大学とは対照的に、公務員や地元の有力企業への就職に強いことが伺えます。

このようなデータだった場合、
「地方公務員試験対策のサポートが手厚い」
「地元の企業との連携が密接に行われている」
といった、地元企業への就職や公務員対策など、大学側のサポートが充実しているということが理由として考えられます。

地域社会への貢献を志す学生にとって、このようなB大学は最適な環境と言えるでしょう。

【ケース3:C大学文学部】

C大学は、リベラルアーツを重視する大学だと仮定します。

その文学部では、言語学や文化研究だけでなく、情報科学やデータ分析といった現代的なテーマも取り入れているので、卒業生の職種別就職者数を見ると、以下のような特徴が見られました。

・ITエンジニア・プログラマー: 20%
・Webマーケティング・広報: 15%
・教員・教育関係: 10%
・編集者・ライター: 5%
・その他: 50%

文学部なのにエンジニア…?

C大学の文学部は、文系でありながら情報通信業やWeb関連の職種に強いことがわかります。

この一見すると不可思議な就職状況ですが、
「大学が文系学生向けにプログラミングやデータ分析の授業を提供している」
「文理融合した企業への就職支援が強い」
などが考えられます。このデータは、「文系だから文系の仕事にしか就けない」という固定観念を打ち破る、非常に興味深い事例と言えるでしょう。

最近、いろんな国公私立大学で「文理融合学部」が導入されていますね。

まとめ:大学での学びを未来に繋げるために

大学進学は、自分のライフプランを決める第1歩です。

「なんとなく」「親に言われたから」という理由だけで、大学進学後にプラスアルファのスキルを求めて行動できますか?

そのような人は、もしかすると、変化が激しい社会の中で生き抜くための確かなキャリアを築くことが難しいかもしれません。

将来性のある分野を見つけるためには、まず社会全体のトレンドを把握し、自分が興味を持った分野に必要なスキルは何かを考え、今この瞬間から行動に移していきましょう。