高校進学後に 「落ちこぼれる子」と「伸びる子」の違い|中学生からできる親の関わり方
こんにちは、郷中塾の宮園です。
3月の公立高校入試を目前に控えている中学3年生やその保護者は、緊張が最高潮に達しようとしている時期だと思います。
そんなみなさんに質問です。
高校デビューで失敗してしまい、幸先不安な3年間を過ごしている先輩たちがいるのをご存じですか?
新高校1年生の中には、スマホを手に持ち、今まで以上に保護者や先生からの監視がなくなった結果、「自由=何でもしていい」と勘違いしてしまい、勉強についていけなくなっている生徒がいます。
今回は、今からでも遅くない、保護者ができるお子様との関わり方について、さまざまな事例をもとに、これまで振り返り将来を考える機会をご提供したいと思います。
【お知らせ】
新高校1・2・3年生、入塾予約受付中
鶴丸高校・甲南高校から難関大を目指す皆さんへ。
これまでに合格した先輩たちの多くも、志望校合格への道のりは平坦ではありませんでした。
しかし、彼らは早い段階で基礎を固め、勝負の夏に向けて着々と力をつけて、一気に花開いていきました。
今の成績は関係ありません。
ここからの戦略的努力が、1年後、2年後の歴史を変えます。
【入塾受付】
新高1:4月入塾予約
新高2.3:3月入塾予約
【募集定員】
新高1.2:残り10名
新高3:残り15名
定員に達し次第、終了となります。
詳細はページ上部のバナーよりお問い合わせください。
序章:「高校デビュー」の裏で起きる学力格差

「高校デビュー」という言葉を聞いて、どのようなイメージを抱かれるでしょうか。
これからできる新しい友人、部活動や学校行事、高校受験のプレッシャーからの解放…
お子さんの期待と希望に満ちた高校生活をスタートさせる姿を想像すると、胸が高鳴る保護者の方も多いことでしょう。
しかし、その華やかな「高校デビュー」の陰で、気がつかないうちに急速に進行していくのが「学力格差の拡大」という現実です。
中学校の頃は「成績が良い方だ」と安心しても、高校に入った途端、学業でつまずき始めるケースは決して珍しくありません。
最初の定期考査で、予想もしなかった赤点や平均点を大きく下回る点数を取ってしまい、親子で途方に暮れる…
これは、高校の学習内容が中学とは比較にならないほど難しく、その学び方も大きく変化することに起因しています。
これは、教育業界で『高1クライシス』と呼ばれている現状です。
【「高1クライシス」とは】
高等学校進学後、学習や生活面での大きな環境変化に適応できず、生徒が不登校に陥ったり、退学したりする現象。ケースの大半が高校1年時に集中していることからいう。
また、中学では学習面・運動面で、ほかの人よりもぬきんでていると自負していたものが、高校に入ってみるとさほどではなかったことに気づかされることも多い。
このような自信の喪失も、高1クライシスに陥る原因となる。引用元:高1クライシスとは|コトバンク
そして、この「高1クライシス」は、単なる『勉強不足』という一言では片付けられません。
それは、中学までの勉強スタイルや、子どもの勉強に対する意識、さらには保護者の方の関わり方など、複合的な要因が絡み合って生じる、深刻な問題なのです。
中学生の時に築いた自信や経験が高校で粉々に砕かれるという経験は、自己肯定感を大きく傷つけ、以下のようにその後の学習意欲を著しく低下させてしまいます。
1.勉強への自信がなくなる
⬇︎
2.今までの勉強法が不安なので、勉強に身が入らない
⬇︎
3.勉強する気がおきないので、理解が追いつかない
⬇︎
4.理解が追いつかないので、授業がわからない
⬇︎
5.授業がわからないので、テストで点数が取れない
⬇︎
6.テストで点が取れないので、勉強への自信がなくなる
この事態を未然に防ぐためにも、保護者の方々には、高校で起きる様々な変化について、事前に理解していただくことが不可欠です。
第1章:「高1クライシス」を引き起こす根本的な原因

なぜ、多くの生徒がこの「高1クライシス」に直面するのでしょうか。
その原因は以下の3つの要素に集約されます。
原因1:自律した学習習慣の欠如
中学生の多くは、学習塾や部活動で時間に追われ、さらには家庭学習の時間や勉強内容まで、保護者や学習塾に管理されていました。
しかし、高校進学時にこの管理から解放されたタイミングで、「自由」を履き違えてしまう生徒がいます。
この「本来の自由」の中で、自分で勉強計画を立て、それにあわせて勉強し、結果を見て反省する『自己調整学習』のスキルがなければ、あっという間に周りとの学力差が開いてしまいます。
中学まで「塾の先生に言われたからやる」「親に言われたからやる」という受け身の姿勢で勉強してきた生徒は、この段階でつまずきやすいです。
原因2:勉強に対するモチベーション低下
高校受験という、明確で短期的な目標があった時期とは異なり、高校生活が始まると「何のために勉強するのか」という大きな問いに直面し、勉強へのモチベーションが低迷する生徒がいます。
将来の夢や目標が漠然としている段階では、目の前の勉強に意味を見出せず、踏ん張って頑張らないといけない時に踏ん張ることができない人がいます。
このようにズルズルと毎日を過ごしている人はいませんか?
このような状態は、教育心理学の分野で「動機づけの欠如」と呼びます。
内発的動機(自ら学びたいという気持ち)がないので、外部からの働きかけ(親や先生からの声かけ)があっても、継続的かつ恒常的な勉強は困難になっている状態です。
詳しくは以下の論文に記載されておりますので、ご興味ある方は是非ご確認ください。
参考サイト:学習意欲減退要因と無動機に関する実証研究 自己決定理論に基づいて|The University of Osaka Institutional Knowledge Archive
原因3:時間管理能力の未熟さ
高校生活では、部活動や友人関係、学校行事など、勉強以外に時間を費やす機会が爆発的に増えます。
もちろん、中学生に比べると帰宅時間が遅くなることも多く、疲労から勉強する時間が確保できないという悪循環に陥る生徒も少なくありません。
中学生の時より勉強時間を確保するのが難しくなっているにも関わらず、その少ない勉強時間で居眠りしてしまうのであれば、日々の生活習慣を見直す必要があるかもしれません。
時間をいかに効率的に使うかという「タイムマネジメント」の意識がなければ、学業と他の活動との両立は不可能でしょう。
第2章:【事例紹介】なぜ、高校で成績が振るわなくなるのか?
この第2章では、高校で成績が振るわなくなる原因を、具体的な4名の生徒タイプに分類して深掘りしたいと思います。
まずは、その4名の概要を見て行きましょう。
・ケース①
中学生の時は「塾任せ」だったAさんの失敗
・ケース②
「部活と勉強の両立」に失敗したBくんの挫折
・ケース③
「なんとなく」勉強していたCさんの壁
・ケース④
「高校は自由」と勘違いしたDくんの落とし穴
オススメ記事
第2章-1:今まで「塾任せ」だったAさんの失敗

小学校高学年から中学校まで学習塾に通い続け、学習塾のカリキュラムと宿題をこなすだけで成績を維持していたAさん。
高校進学後も同じやり方で大丈夫だと思っていましたが、高校の授業は今まで勉強していた進度より早いうえに難しいので、宿題だけでは理解が追いつきません。
しかも、高校の単元テストや小テストでは点数がとれず、授業はわからないことが積み重なってきました。
結局Aさんは、テスト前日に一夜漬けしてみますが、当然うまくいかず…
特に、「提出物の提出期限を守る」「言われたことをしっかり守る」といった、いわゆる真面目でしっかり者な性格の生徒に多いです。
学校や塾から与えられた課題はこなせますが、自ら課題を見つけて解決する力が育っていません。
【対策のヒント】
中学生のうちから「なぜこの問題を解くのか」「この単元は何のために学ぶのか」を自分で考える習慣をつけましょう。
中学生に「自己分析して、今の自分に何が必要か考えてみて」と話をすると、
と、はじめは的外れな自己分析をしたり、非効率な解決策を思いついたりします。
さっさと止めて、勉強しなさい!
その瞬間だけ見ると、お子さんは間違ったことをしているかもしれません。
それでも、自ら考えて行動に移し、小さな失敗を繰り返しながら、「自己分析→行動」の精度を徐々に上げる方が、高校進学時の勉強へのハードルが小さくなると思います。
第2章-2:「部活と勉強の両立」に失敗したBくんの挫折

中学校ではバスケ部に所属し、毎日部活動でヘトヘトになりながら、勉強と両立できていたBくん。
高校でも同じように部活に全力を注ぎましたが、高校の部活動は練習量も移動時間も増え、疲労から勉強に集中できず、予習や復習を怠るように…
このように、問題を先送りにし続けた結果、いつの間にか授業内容が理解できなくなり、勉強のやる気自体を失ってしまいました。
だけどBくんは部活動が楽しいので『部活動を辞める』『勉強のために時々休みをもらう』の選択肢はなく、「部活動が引退してから、高校受験のように頑張るんだ」と、さらに問題を先送りにしてしまいました。
『問題の先送り』を後悔するのは、高校3年生になってからですが、今は他人事で知らんぷりです。
特に「とにかく部活動を頑張りたい」という生徒や、「高校生活を充実させるために部活動をさせたい」という家庭に多く、部活動で削ってしまった勉強時間を補填していない人が当てはまります。
【対策のヒント】
「スキマ時間」の活用法を中学生の時から練習しましょう。
高校生活では、中学生の時とは比較にならないほど、細かい時間配分とさまざまな勉強法が求められています。
今までのように机にかじりつく勉強だけではなく、移動時間では英単語帳とにらめっこをして暗記をし、食事や休憩時間は負担の少ない科目の復習を行う。
高校生は小さな遅れが、後で取り返しのつかないことになる場合がありますので、注意しましょう。
第2章-3:「なんとなく」勉強していたCさんの壁

中学時代は特に目標もなく、「みんなが勉強しているから」という理由で勉強していたCさん。
今までは友達と一緒という一体感もあって、志望校合格まで走り抜けてきましたが、高校進学と同時に大きな目標がなくなると徐々にモチベーションが低下…
学校の先生からは、
将来何をしたいですか?
と聞かれても、Cさんは将来やりたいことも、行きたい大学も決まっておりません。
勉強する意味を見出せなくなり、テスト前だけ勉強してなんとか乗り切ろうとする、中学1年生のような勉強スタイルに逆戻り…
しかし、高校のテストは当然ながら一夜漬けでは対応できず、結局赤点を取ってしまいました。
特に、高校受験を含め、今までの行動指針が「親に言われたから」「友達がやってるから」など、他人が決めたことに従うだけで、自分の本心を向き合ってこなかった人が陥りやすいケースです。
【対策のヒント】
中学生のうちから「将来どんな大人になりたいか」といったキャリア教育的な視点を取り入れましょう。
医療系に進みたい!
お金稼いで好きなことしたい!
中学生の多くは、世の中に存在する仕事をほとんど知りませんので、このような大雑把な夢でも構いません。
まずは「将来自分が何をしたいのか」「どんな生活を送りたいのか」などの夢や目標を言葉にし、それに向かって今何をすべきなのか、そしてどのような道を進めばいいのか、家族と一緒に何回も考える機会を設けることが大事です。
第2章-4:「自由」を勘違いしたDくんの落とし穴

Dくんは中学校のとき、先生や保護者からの管理下で過ごしていましたが、高校生になると徐々にその管理も緩くなりました。
それに加えて、高校生になると友人からの遊びの誘いも増え、禁止されていたスマートフォンも手にし、交友関係が広がっていきます。
自由で気楽な高校生活、サイコー!
そんな楽しい高校生活は長く続きません。
気づけばSNSやゲームに多くの時間を費やしており、夜更かしが増えて生活リズムも乱れがちに。
夜中までスマホを触る生活が続いていたので、日中は眠気との戦いで授業は集中できず、提出物の期限も守れなくなり、成績も勉強のやる気も急降下…
今まで学校・学習塾・保護者から「縛られている」「窮屈だ」という、極端なマイナスの感情を持っている人は必ずと言っていいほど一度ハマってしまいます。
【対策のヒント】
「自由には責任が伴う」ということを、中学生のうちから対話や体験を通じて伝えましょう。
もちろん、お子様に「好き放題していい」「やりたいことをしていい」だけでは、いい方向には進まないでしょう。
中学生のうちから自制心を持って過ごすことは難しいと思いますが、「『自由=気楽』ではないこと」「自由のために何を努力するのか」など、ご家庭の中で対話を重ね、少しずつ自制心を養っていきましょう。
第3章:伸びる子と落ちていく子の違いは「非認知能力」にあり
第2章では、高校に進学した際に成績が振るわなくなる4名の生徒タイプについてお話ししてきました。
しかし、同じ環境に身を置いているにも関わらず、高校でも成績を伸ばしていくお子さんと、残念ながらつまずいてしまうお子さんがいるのはなぜでしょうか。
もしくは、要領の良し悪しとかですかね?
その決定的な差は、「学力テストの点数」だけでは測れない、ある重要な能力の有無にあると私は考えています。
それが「非認知能力」とよばれる能力です。
【「非認知能力」とは何か?】
「非認知能力」という言葉はあまり耳馴染みがなく、初めて耳にする方もいらっしゃるかもしれません。
これは、IQや学力テストの点数といった「認知能力」では測ることができない、意欲、自制心、協調性、コミュニケーション能力、粘り強さ、問題解決能力といった、心のあり方や行動の特性に関わる力を指します。
では、何故この非認知能力が高校での学業成績に大きく影響するのでしょうか。
それは、高校の学習が、与えられた知識を覚えるだけでなく、自ら課題を見つけ、解決策を考え、困難に直面しても諦めずに取り組む姿勢を強く求めるからです。
基礎的・基本的な知識及び技能を確実に習得させ,これらを活用して課題を解決するために必要な思考力,判断力,表現力等を育むとともに,主体的に学習に取り組む態度を養い,個性を生かし多様な人々との協働を促す教育の充実に努めること。その際,生徒の発達の段階を考慮して,生徒の言語活動など,学習の基盤をつくる活動を充実するとともに,家庭との連携を図りながら,生徒の学習習慣が確立するよう配慮すること。
これからお話しする第3章では、具体的に「高校で伸びる子の共通点」についてお話ししていきます。
まずは、3つに分類しましたので概要から確認しましょう。
・目標に向かう意志力がある
「自己肯定感」と「レジリエンス(回復力)」について
・最後までやり切る継続力がある
「自己管理力」と「グリット(やり抜く力)」について
・自分の立場を客観視できる
「メタ認知」について
オススメ記事
第3章-1.目標に向かう「自己肯定感」と「レジリエンス(回復力)」

まず、「自己肯定感」と「レジリエンス」についてご説明したいと思います。
【「自己肯定感」とは】
「自分は価値のある人間だ」「自分にはできる」と、ありのままの自分を受け入れ、信じる気持ちのことです。
これと似た概念に「自己効力感」があります。これは、ある目標を達成するために必要な行動を、自分ならうまく実行できるという確信や自信を指します。
自己肯定感が高く、「自分ならできる」という感覚を持っているお子さんは、たとえ難しい問題に直面しても、「どうせ無理だ」と諦めるのではなく、「もう少し頑張ってみよう」と前向きに挑戦することができます。
逆に、自己肯定感が低いお子さんは、
と、少しの失敗で自信を失い、新しい挑戦を避けたり、努力することを諦めてしまったりする傾向があります。
次に、「レジリエンス(回復力)」についてご紹介します。
【「レジリエンス(回復力)」とは】
回復力・復元力・跳ね返る力といった意味を持つ言葉で、困難な状況に直面しても、そこから立ち直り、適応する力や過程を指します。
今まで心理学やビジネス分野で注目されてきた概念ですが、最近ではストレス社会で生き抜く上で重要な能力とされています。
また、高校生活では、中学生の時には経験しなかったような挫折や失敗に直面することが多々あります。
例えば、初めての定期テストで思うような結果が出なかったり、部活動でレギュラーになれなかったり、友人関係で悩んだりすることもあるでしょう。
しかし、レジリエンス(回復力)の高いお子さんは、こうした困難や逆境に直面しても、それを乗り越え、立ち直る力を持っています。
次に向けて気持ちを切り替えよう!
このように、失敗を「終わり」と捉えるのではなく、「次への学び」と捉え、前向きに再挑戦できるのです。
教育心理学の研究でも、レジリエンスが高い生徒ほど、学業成績が向上しやすく、精神的な健康も保たれることが示されています。
第3章−2.未来を拓く「やり抜く力」と「自己管理能力」

高校で成績を伸ばし続ける生徒に共通する、もう一つの重要な非認知能力は、「グリット(やり抜く力)」と「自己管理能力」です。
【「グリット(やり抜く力)」とは】
ペンシルベニア大学の心理学者アンジェラ氏が提唱した言葉で、長期的な目標に向けた粘り強い努力と定義されています。
また、京都大学で行われた研究によると、グリットのもつ行動特性(目標達成への根性や不屈さ)が、高校の学業成績において、改めて重要だということが示されています。
参考資料:グリット(Grit:やり抜く力)の 2 つの側面が大学受験模試に及ぼす影響―3年間にわたる3波縦断研究からの知見―
高校の勉強は、中学のように短期的な努力で乗り切れるものではありません。
時には、すぐに結果が出なくてもモチベーションを維持し、諦めずに努力を継続する力が求められますが、グリット(やり抜く力)が低いお子さんは、
そして、このグリットを支えるのが「自己管理能力」です。
高校生は勉強だけでなく、部活動・学校行事・友人関係と、多岐にわたるイベントで大忙しです。
その限られた時間をいかに効率的に使い、自分の目標達成のために行動できるかが重要でしょう。
中学生のとき、学習塾や保護者にスケジュールを管理してもらっていたお子さんは、高校の自由な環境でこの自己管理能力の欠如が露呈することになります。
第3章−3.成長を促す「メタ認知」の力

最後に、高校で大きく成長する人が持っている、もう一つの強力な非認知能力が「メタ認知」です。
【「メタ認知」とは】
「自分の認知活動(思考、記憶、学習など)を客観的に捉え、認識すること」を意味します。
簡単に言えば、「自分自身のことを客観的に見て、自分の状況について考える力」です。
学習におけるメタ認知の力は、例えば以下のような形で発揮されます。
・「なぜこの問題が解けないのだろう?」だけで終わらせるのではなく、「どの部分の知識が足りないのか」を自分で分析する。
・「どうすればこの単元を理解できるだろう?」と、先生や友人に丸投げするのではなく、「教科書を読み直したり類題を解いたりしてみる」など、具体的な学習戦略を考える。
・「この勉強法で本当に効果があるのだろうか?」と、自分の学習方法を振り返り、「自分に合ったやり方は何か」を模索し、適宜改善していく。
オススメ記事
第4章:保護者にできる具体的なサポート
第1章から第3章までかけて、高校で学力格差が生まれる「高1クライシス」の原因や、高校でも成績が伸び続ける生徒の共通点「非認知能力」の重要性についてお伝えしてきました。
これらは決して、お子さんだけの問題ではありません。
保護者の方々の関わり方も、お子さんの学習意欲や自律性を育む上で、大きな影響を与えるのです。
この第4章では、学習塾という立場から、保護者の皆さまがご家庭でできる具体的なサポート方法をご紹介していきたいと思いますので、少しでも参考になればと思います。
第4章−1.「なぜ勉強するの?」と聞かれたら、どう答える?

中学生のお子さんが、ふとした瞬間に
と尋ねてくることがあるかもしれません。
この問いに対し、反射的に「良い高校に入るため」「将来困らないため」と答えていませんか?
そして、二言目に「だから、勉強しなさい」と勉強することを念押ししていませんか?
残念ながら、これではお子さんの心には響きにくいでしょう。
なぜなら、これらの答えは「誰かに言われたから勉強する」という受け身の学習姿勢を強化してしまうからです。
「先生や保護者から言われたことだけ勉強する」では成績が伸びないということは自明でしょう。
このような声かけを受けてきたお子さんは、学校や塾から与えられた課題はこなせますが、自ら課題を見つけて解決する力が育っていません。
そして、内発的動機(自ら学びたいという気持ち)がないので、外部からの働きかけ(親や先生からの声かけ)があっても、継続的かつ恒常的な勉強が困難になってしまう状態に陥ります。
では、どうすれば良いのでしょうか。
それは、以下の2点だと私は考えています。
【提案1:「将来を結びつける」会話を増やす】
中学生に限らず、高校1〜2年生の時は、今の勉強や生活習慣などが、将来どのように影響を及ぼすのか考える機会が圧倒的に少ないです。
そのような状態のお子さんは、
このような、他人の顔色や評価だけを意識して行動を取るようになります。
そして、ふと「今何で頑張ってるんだろう」と思ったときに、勉強を頑張る目的が自分の中にないので、モチベーションが維持できず一気に足を止めてしまう生徒がいます。
だからこそ、お子さんが興味を持っていることや漠然とした将来の夢などについて、目の前の勉強がどう繋がっているのかを具体的に話すことで、勉強が「やらされるもの」から「自分の未来を創るためのツール」へと変わっていきます。
【提案2:「どうしたい?」と問いかける】
多くの保護者が陥りがちなのが、「勉強しなさい」という一方的な命令です。
もちろん、命令なく自由勝手にさせると中学生のほとんどは勉強しなくなるので、大事なアクションの一つではあります。
ただ、やりすぎてしまうと、お子さんの自主性や自己肯定感を阻害し、かえって反発心を招いてしまいます。
このようになってしまうと、他責志向や被害者意識で物事を考える習慣がついてしまいます。
こうならないためにも、大切なのは「自分自身に考えて、自分で決めた」という感覚を持たせることです。
その時は、「自分はどうしたいの?」「何に悩んでるの?」と寄り添う姿勢を見せることが大切です。
この対話を通じて、お子さんは「親は自分のことを信頼し、見守ってくれている」と感じ、自ら行動する力を育んでいきます。
オススメ記事
第4章−2.ついカッと怒ってない?「安心感」を与える存在になる
テストの点数が悪かったとき、思わず「なんでこんな点数なの!」と責めてしまう気持ちも分かります。
テストに向かって、お子さんも保護者も含めてご家族全員で臨んでいると、保護者も熱が入ってしまい、つい強い口調になってしまうのではよくあることです。
しかし、お子さんにとって一番の安心の拠り所は、保護者であり家族です。
自分の能力は固定的で変わらないと信じる。
努力によって自分の能力は伸ばせると信じる。
これが、お子さんが失敗を恐れずに挑戦できる環境を作るための土台となります。
こうした保護者の姿勢が、お子さんの自己肯定感を育み、高校での挫折を乗り越えるための「レジリエンス(回復力)」を養います。
失敗を恐れず、何度でも立ち上がれる心の強さは、親からの無条件の信頼と愛情があってこそ育まれるのです。
第4章−3.反抗期の子どもとの関わり、信用度が可視化される瞬間

中学生や高校生になると、親に自分の学習状況を話さなくなるお子さんも多いかもしれません。
では、なぜ子どもは保護者に自分の学習状況や将来像について話さなくなるのでしょうか?
もちろん、中学生から高校生にかけて思春期や反抗期を迎えており、自立心の芽生えの一環として親離れ的な行動を取ることが増えてきます。
しかし、それだけが原因とは言い切れません。
これまでの子どもとの関わり方、そして、子どもが保護者の対応をどのように感じたか、その総合評価が「学習状況の秘匿・隠蔽」という状態に隠されているといえるでしょう。
この時期は、アイデンティティや自律心が未成熟という状態でありながら「一個人としての承認」を求めている非常に難しい時期であり、このような時期は「心理的離乳」と呼ばれています。
第二次成長期とも呼ばれる「心理的離乳」のときの親子関係によって、子どもの成長過程や精神的成長がどのように阻害・発達するか述べている論文があります。
その論文の中では、「親が子を危険から守る関係」という支配的構造から変化できず、子供から「私のことを分かってくれない」「私は親から信用されていない」という反動が生じてしまうことが言及されています。
この論文では、下記のような流れが良好な関係性の変化であることが示唆されています。
1.親が子どもを抱え込む親子関係
⬇︎
2.親が外界にある危険から子どもを守ろうとする親子関係
⬇︎
3.子どもが困ったときに助けたり励ましたり、子どもを支える親子関係
⬇︎
4.子どもが親から信頼・承認されている親子関係
⬇︎
5.親が子どもを頼りにする親子関係
このような信頼関係を築くことが、長期的な親子関係を維持・構築する上で重要であり、子どもが自身の状況を保護者に伝達する状態でなければ、適切なタイミングでサポートすることは困難だといえるでしょう。
そこで有効なのが、学習状況の可視化と承認です。
【学習計画を一緒に立てる機会を設ける】
「テスト2週間前になったら、勉強の計画を立ててみない?」と誘ってみる。
お子さんが自分で立てた計画について承認した上で、一言だけアドバイスをすることで、お子さんの承認欲求と自己管理能力とを育むことができます。
【勉強の進捗を話す機会を定期的に設ける】
「今日の勉強、どうだった?」「数学の問題集、どこまで進んだ?」などと、日常の会話の中にさりげなく勉強の話を織り交ぜる。
お子さんの進捗を把握することで、つまずいているサインに気づきやすくなり、適切なタイミングで励ましたり支えたりすることができます。
まとめ
高校受験は、お子さまにとって大きな目標であり、その達成は素晴らしいことです。
しかし、それはあくまで長い人生の「通過点」であり、その先の大学受験、そして社会に出た時に、本当の意味で自らの力で道を切り拓いていくために、中学生の間に育んでほしいと願っています。
未来を見据えた、温かいコミュニケーションと信頼で、子どもの成長を力強く支えていきましょう。






